今年上半期最大の政治イベントと言えるG7サミットが、岸田首相の地元・広島でいよいよ開催される。
大きなイベントがおこなわれる際には、その経済効果についてワイドショーなどが取り上げるのが常だが、広島サミットで見込まれる経済効果としては、900億円超という数字が広く知れ渡っている。また、事後の効果も含めれば3200億円に達するという報道もあり、世の中では前向きに受け止められているようだ。全国紙記者が言う。
「地元では移動に大きな規制が敷かれるので、開催中の観光客数の減少を危惧する声もあります。ただ、被爆地として元々有名な広島の名前がより知れ渡ることのメリットは計り知れず、事後の効果に期待する声が大きいのです」
では実際、過去のケースではどうだったのか。もちろん試算なので複数の数字があるのだが、16年に行われた三重県伊勢志摩サミットでは、三重県が事後の効果を含めて「最終試算」というものを出しているので、それを見てみよう。
資料によれば、16年の誘客効果は増加率で9.3%、観光消費額の増加は323億円、単年の経済効果は453億円とされている。また開催年を含めた5年間を集計すると、サミット効果による誘客で745万人、観光消費の増加額は1060億円、最終的な経済効果は1485億円に上ると推計されている。
この数字を見ると、やはり経済効果は大きいことが分かる。そしてそれが少なくとも開催後5年間はセールス効果として続く。具体的な事例としては、伊勢志摩サミットではMICE(国際会議や展示会とそれが行われる施設)の誘致が積極的に行われたため、国際会議が増えたという。
「一方の広島ですが、21年、22年と全国でも突出して転出者が多いことで知られています。人口ボリュームが200万人台で同程度の京都、宮城、茨城、新潟、長野といった府県の中でも、22年の転出超過数では2位の新潟県の約5800人に比べても、広島は約9200人と断トツ。地方の拠点都市としての地位低下が著しい状態です」(同)
果たしてサミットが地方創生の起爆剤となるか。
(猫間滋)