びんずる尊者像で脚光「善光寺」参りを100倍楽しむ(2)あの上祐史浩氏が「カリスマ仏像」を解説

 7年に一度、御開帳で人の目に触れるのは御身代わりの「前立本尊」。善光寺の長い歴史の中で、御本尊を見た者はいない。

「江戸時代には幕府が使者を派遣して調査を行ったようですが、御本尊が安置されている『御厨子』のことしか記録されていません。近い時代の記録では、太平洋戦争中の空襲の際に避難させたことがあるそうです。背負った人によれば、ずっしりと重かったそうです」(昼間氏)

 元オウム真理教幹部で、後継団体のひとつ「ひかりの輪」代表の上祐史浩氏が御本尊の魅力を徹底解説する。

「私は05年頃から年に一度は善光寺を参拝していますが、それはやはり、日本で最もカリスマ性がある仏像(御本尊)が目当てです。古来様々な神秘的な伝説があり、誰も見たことがない『絶対秘仏』とされ、その近くには、今も不思議な力があるように感じます。伝説的で伝統的なパワースポットですね」

 そんな上祐氏に善光寺参拝の作法を聞くと、

「まずは本堂に入って、びんずる尊者像がある外陣を抜けて内陣へ。戸張の中の厨子の奥に御本尊があります。自分が最初にそこで瞑想をした際には、まさに噂にたがわぬ光やエネルギーを感じました。そして、御本尊の下にある真っ暗闇の空間を進んで錠に触れる。このお戒壇巡りと内陣が、御本尊に最も近づけるポイント。私が言うのもおこがましいかもしれませんが、善光寺の参拝に小細工は不要。昔の人と同じくオーソドックスに、このスーパーカリスマ仏像になるべく近づき、それをストレートに心身で感じることだと思います」

 この「お戒壇巡り」で、善光寺如来と縁を結べば、死後は極楽浄土へと導かれるという言い伝えも。

「かつては『戒壇草履』といって、お戒壇巡りの時に履いた草履を大切に持ち帰って、死後、棺桶に入れてもらう風習もあったといいます。ちなみに、たった一度だけ、戦後にGHQが武器隠匿を調査する際に中を提灯で照らして歩いたことがあるそうです」(昼間氏)

 また、谷川住職は、初心者にもわかりやすく参拝方法を指南する。

「本堂の外陣に入ると賽銭箱があります。そこに賽銭を入れられて、向かって左側に御本尊様がおられますので、最初に手を合わせてお参りをしていただきたい。右側には善光寺を開山した本田善光(よしみつ)とそのご家族(三卿像)が祀られています。賽銭箱を目印に、左の御本尊、右の本田善光と覚えて、その順序でお参りするといいでしょう」

 内陣から欄間を見上げれば、そこには光り輝く金色の「来迎二十五菩薩像」が。目を凝らして「無人雲」を探してほしい。

「これは、25体の菩薩が極楽浄土から雲に乗って迎えに来ているところを表現したもの。よく見ると誰も乗っていない雲がひとつあるんです。それこそが、自分が乗る雲というわけで、『将来』に備えて、じっくりと見ておきたいところです」(昼間氏)

 遠くとも一度は詣れ善光寺─。仏像のオーラを肌で感じてほしい。

(つづく)

ライフ