芸人のネタに笑わず、逆に無茶振りするなど、「芸人殺し」の異名を持つ黒柳徹子。冠トーク番組「徹子の部屋」(テレビ朝日系)でも、数々の芸人が洗礼を受けてきた。その黒柳を「制した」とネット上で話題となったのが、お笑いタレントのヒコロヒーだ。
4月14日放送の「徹子の部屋」に出演したヒコロヒー。冒頭のコント「村の生贄」では、黒柳に「面白かったです」と言わしめて上々のスタート。黒柳のことを「徹子先輩」と呼び、黒柳の全ての著書も読破したと明かした。得意の絵では、あらかじめ描いた黒柳の似顔絵を持参した。その絵を見た黒柳は「あ、似てる」「ちょっと若いころ」「かわいい」とご満悦だ。そして番組ラストにテーマソングが流れ出すと、「あら、(終わってしまうのが)早いですね、ずいぶん」と絶賛の感想が飛び出したのだった。
この快挙にネット上では、《徹子さんも楽しそうだった》《ヒコロヒー、徹子と対等に話をしていてさすが!》《徹子さんに何度も面白いと言われていた》と、ヒコロヒーを絶賛するコメントが相次いだ。こうしたネット上の声をヒコロヒーも目にしていたようだが、放送終了後の本人のツイッターでは、《え、わし徹子先輩を制したって言われてるん? どういうこと》と、まだピンときていないようだった。
「数えきれない芸人が黒柳の『餌食』になってきましたが、ヒコロヒーは違っていました。最初のコントがウケたのはもちろん、『徹子先輩』と親しみを込めて呼んだのも功を奏しました。たまたま黒柳の著書を学生時代から読んでいたのも大きかったでしょう。似顔絵も極端に美化せず、かわいい感じに仕上げたのも、黒柳に気に入られた大きな要因です」(芸能記者)
黒柳を「ヨイショ」したようにも見えるが、ヒコロヒーはそんなタイプではないという。
「ゴマをすることなく、自分に正直なタイプです。かつてテレビのバラエティ番組で、横暴な態度をとるスタッフに対し、この人に頭下げてまで仕事するつもりはないな、と思って『ちょっと帰ります』と仕事を断ったこともあったといいます。そんなまっすぐな性格を黒柳は見抜いていたのかもしれません。黒柳を『徹子先輩』と敬ったのも、計算などなく正直な気持ちだったのでしょう」(前出・芸能記者)
百戦錬磨、というより天然の「芸人殺し」をトリコにできたのは、ヒコロヒーがその性格通り、飾ることなく素のままで対峙した結果だったのかもしれない。
(石田英明)