牛丼チェーン大手の「吉野家」は、昨春発売しておよそ2カ月半で400万食を売り上げた期間限定メニュー「親子丼」の今春の販売を見送ったことを明らかにした。ファンからは落胆の声が相次いでいるが、4月6日から値下げを実施している「なか卯」の親子丼と真っ向勝負しなくてよかったと見る向きもある。
「吉野家によると、この春も昨年大ヒットを記録した親子丼の投入を検討していたそうですが、鳥インフルエンザによる卵の供給不足で断念せざるを得なかったといいます。またその代わりとして、『焦がしねぎ焼き鳥丼』が17日より販売されます」(フードライター)
同チェーンの親子丼は、2012年に販売していたものを10年かけて再開発したというこだわりのメニュー。発売直前には当時の常務が早稲田大学の社会人向け講座で「生娘シャブ漬け戦略」と発言したことが物議を醸し、親子丼の発表会やCM放映が次々と中止になるなど難しい船出となっていたが、そんな逆風も吹き飛ばす久々のヒット商品となっていた。
「そんな経緯もあって、吉野家としては親子丼をキラーメニューとして大事にしたい思いがあるでしょう。しかし、今はなか卯が看板商品の親子丼を490円(以下税込み)から450円に値下げしたばかりですから、販売を見合わせて正解だったかもしれません。昨年、吉野家は親子丼を437円で販売していましたが、もし今年販売するとしたらエッグショックの影響もあって値上げは避けられない状況。値下げしたなか卯の親子丼と値上げした吉野家の親子丼を比較されてはどうしても分が悪いですからね。今ムリをしてまで販売する必要はないという判断もあったのかもしれません」(フードジャーナリスト)
吉野家の親子丼は来年までお預けか?
(小林洋三)