今夏にレアル・マドリードへの電撃移籍を果たし、現在はトップチームでプレシーズンを過ごす日本代表MF久保建英にいくつかの“追い風”が吹いている。
世界最大規模にして最強のフットボールクラブであるレアルに加入し、プレシーズンマッチでも十分な輝きを放っている久保。加入当初はトップチームの異様なまでの選手層の厚さや、久保自身の経験値の低さから、レアルのBチームからのスタートになることが既定路線であると報じられてきたが、様々な事情により、2019-2020シーズンをトップチームで戦える可能性が以前よりも遥かに増していると言えそうだ。
まず、何よりも大きなアクシデントが、久保と同じレフティーでポジションも被るスペイン代表MFマルコ・アセンシオの靭帯断裂による長期離脱だ。7月23日に開催されたアーセナルとの強化試合中、芝生に足を取られて負傷したアセンシオは、後に最低でも9カ月間の戦線離脱となることが発表された。これはレアルにとっても大打撃であることは間違いない。同僚の負傷によって久保の序列が上がることを“追い風”などと喜ぶことはできないが、チームが以前よりも久保を必要としていることは事実である。
また、最前線からサイドまで、攻撃的なエリアであればどのポジションでもこなせるウェールズ代表FWガレス・ベイルも退団が秒読み段階と報じられており、彼もまた久保と同じ左利きのプレーヤーだ。さらに、今夏にレアルが獲得した目玉選手である攻撃的MFエデン・アザールは久保と完全にポジションの被るチャンスメイカーだが、シーズンオフでの体重激増が問題視されており、英紙「Mirror」は本来の体重よりも7kg増えた状態でレアルに合流したと指摘。もちろんその“ぽっちゃり化”が原因で持ち味である変幻自在のドリブルに悪影響を及ぼしているとも伝えている。
「久保と同じ、攻撃的なエリアを主戦場とするアセンシオやベイル、アザールに次々と負傷や問題が重なっており、レアルとしても新シーズン開幕時に久保をBチームに戻す余裕が無くなるかもしれません。もちろん現状に危機感を覚えたチームが新たな選手を獲得する可能性もゼロではないですが、マンチェスター・ユナイテッドに所属するフランス代表MFポール・ポグバの他に加入が噂される選手はほぼ皆無な状況です。そのポグバもポジションは攻守のバランスを取るセントラルMFで、久保とは被りませんからね」(スポーツライター)
アセンシオの1日も早い復帰を望むのは当然だが、久保がレアルで必要とされている現在の状況は日本サッカー界としても誇らしいものにちがいない。小さなチャンスを生かし、その才能を存分に発揮してもらいたいところだ。
(木村慎吾)