「直営業がないと食えない」という謎のロジックがなぜ存在するのか?

 宮迫博之らの闇営業問題に端を発した吉本興業の騒動は、11年に引退した島田紳助氏も週刊文春のインタビューを介して参戦するなど、ますます混迷の一途をたどっている。そのなかで芸人側が口をそろえるのが「直営業がないと食っていけない」との主張だ。

 この主張については張本人の宮迫が7月20日の会見で「食えない若手がたくさんいる。バイトだけではやっていけない」と理解を求めたほか、紳助氏も「直の営業は若い子は行かないと、生きていけへん」と指摘。当の若手芸人たちからも直営業が命綱との声があがっている。だがこれらの主張について、世間からは疑問の声があるようだ。

「吉本興業が受注した正式な仕事でも、芸人が個人で受けた直営業であっても、ギャラを払う発注者がいることに違いはありません。それら直営業で食っている芸人がたくさんいるのですから仕事自体はあり、お金は回っているということ。でも、事務所発注にするとギャラが跳ね上がったり断られることもあるから、発注側としては直に芸人に打診する。そこでフィルター機能が利かず、今回のような反社会的勢力が入り込む余地があるわけです。そうした芸人が直で取ってきた仕事も事務所が把握していれば、こうした騒動も発生しなかったでしょう」(週刊誌記者)

 闇営業問題では反社会的勢力の関与に加えて、受け取ったギャラを申告せずに脱税していたであろうことも問題視されている。しかし無申告の件に関しても、会社による監視があれば避けられる話だ。

「テレビ局のアナウンサーは披露宴での司会を“直営業”として引き受けていますが、その際には上司への報告と承認を義務付けることで、局側は黙認する形となっています。それと同様に、芸人も自分で取ってきた仕事は吉本への報告を前提に、正々堂々と直営業すればいいはず。しかし従来のシステムではおそらく、芸人が直で取ってきた仕事であっても吉本を通せば、高い割合で手数料を抜かれていたのでしょう。これでは芸人側が会社に内緒で直営業に手を出すのも当然であり、闇営業問題は吉本の体質が生み出したものと言えるのではないでしょうか」(前出・週刊誌記者)

 今回の闇営業問題が浮き彫りにした問題点は、ほかにもいろいろあるのかもしれない。

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