物価高時代の最強食「もやしサバイバル術」(2)栄養素を保つため長時間加熱はNG

 これまで言及したもやしは、スーパーで最もよく見かける「緑豆もやし」だが、さらに高い栄養価を誇るのが、新芽の部分が最もしっかりとしている「大豆もやし」である。

「他の大豆製品に比べてGABA含量が2.70倍以上なんですよ」(望月氏)

 GABAとは、血管を収縮させる作用のある神経伝達物質ノルアドレナリンの分泌を抑える役割を持つアミノ酸の一種である。望月氏が続ける。

「血管の収縮を和らげて血の流れをよくしてくれます。血圧が高めの方の血圧を下げてくれるので、高血圧対策にオススメなんですよ。そのため最近では、GABAを一定量添加して、機能性表示食品として販売されているもやしもあります」

 その性質を知れば知るほど、ダイエットや生活習慣病対策にも役立ち、体にもサイフにも優しい。まさにいいところばかりなのだが、調理法も手軽でバリエーションが豊富なのも魅力的。ただし、調理の際は、ひとつだけ留意点がある。せっかくの栄養素を保つために、ぜひ覚えておいてほしい。

「ビタミンCのような水溶性ビタミンや、水溶性食物繊維は、長時間の加熱によって水に溶け出しやすいんですよね。そのため、なるべく水を使わない方がいい。目安は電子レンジ600Wで約3分、炒める場合は強火1分、ゆでる場合は30秒ほどでOK。短時間加熱を心がけたいですね。スープなどで煮汁も活用する場合は、100度に5分以内であれば、煮汁へ流出した水溶性の栄養素も十分摂取することができます。もやしは主役にも脇役にもなれる、とにかく万能な食材です」(望月氏)

 もやしを使えば1食100円以内で済ますことも難しくはない。ページ下部に掲載している望月氏考案のレシピも参考にしてもらいたいが、なぜこんなにもすばらしい食材が安価であり続けるのか。

「背景には生産者の企業努力があります。もやしを生産する上での原料種子は3倍以上になるなど、取り巻く様々なコストが上昇している中で安さを守り続けている。ですが『もう限界』とばかりに昨年11月7日、『工業組合もやし生産者協会』が日経新聞に『安さばかりを追求していては、もう続けていけない状況』という嘆きを全面広告で展開しました」(小売店関係者)

 身を挺してビンボーオヤジを救ってくれる優れモノ。敬意を払って、いただきます!

【おすすめ!もやしレシピ】

■レンチン豚もやし

【材料】〈1〉もやし1袋〈2〉豚薄切り肉150グラム〈3〉塩胡椒少々〈4〉ソース(ニンニクチューブ1センチ、生姜チューブ0.5センチ、しょうゆ大さじ1/2、ごま油大さじ1、豆板.小さじ1)

【作り方】耐熱皿に〈1〉を乗せ、3センチほどに切った〈2〉を重ならないように〈1〉の上に並べて〈3〉を振って電子レンジ(600W)で5分加熱(肉が赤いようであれば30秒ずつ追加加熱)。〈4〉を耐熱容器に入れて600Wで1分加熱後、かけて出来上がり。

*ソースの代わりにポン酢でもおいしくいただけます。

■もやしのナムル

【材料】〈1〉もやし1袋、鶏ガラスープの素小さじ2、ごま油小さじ2〈2〉ごま小さじ1

【作り方】耐熱容器に材料〈1〉を入れて電子レンジ(600W)で3分間加熱し、よく混ぜたあとに〈2〉を振って出来上がり。
*そのままはもちろん、ラーメンのトッピングやゆでたり焼いたお肉で巻く、パンに挟むなどいろいろと活用できます。

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