値上げラッシュが続く昨今、1月の消費者物価指数が昨年同月より4.2%も上昇。これは第2次オイルショックの影響により物価高が続いた81年9月以来の水準となる。食料品に光熱費、日用品からガソリン代など、あらゆる物が値上がりする中、最強の食材と言えば、それは「もやし」だ。
物価高もなんのその。どんな時でも揺るぎない低価格を誇り、ビンボーオヤジたちの救世主となるのがもやしである。小売店関係者が話す。
「総務省が公表している『家計調査家計収支編』によると、100グラム当たりの平均価格が76年は15.12円、21年は15.33円と、もやしの価格はほとんど変化していません」
その間の増税などもものともしない優等生のもやしだが、ただ「安いから」という理由で手に取ろうとしていないだろうか。それはとんだ勘違いである。価格同様、栄養価もすばらしいのだ。健康検定協会管理栄養士の望月理恵子氏が教える。
「もやしには様々な栄養素が含まれていますが、そのひとつにアスパラギン酸があります。これはエナジードリンクにも入っていることがある成分で、エネルギー代謝を円滑にし、疲労を回復させる効果が期待できる栄養素です」
なんと、アスパラガス12本分のアスパラギン酸が、もやし1袋に入っているそうで、あの貧弱な外見からは想像もつかないパワーを秘めているのだ。そればかりか、
「もやし1袋には、りんご1個分のビタミンC、レタス1個分の食物繊維も入っています。前者は体の老化防止に働きかけ、脳に疲れを感じさせる活性酸素を除去する抗酸化作用の高い栄養素。後者は便秘予防として知られますが、腸をキレイにして自律神経のバランスを整え、心の疲れも解消する栄養素です」(望月氏)
さらに食べ合わせしだいでは、よりよい働きもしてくれるというから心強い。
「胃腸の働きを助け、胸焼けや胃もたれを予防する消化酵素アミラーゼも含まれています。これはでんぷんを消化する酵素なので、丼ものやラーメンなど、主食が多い時は、特に一緒に食べたい栄養素です」(望月氏)
健康面を考慮せずに腹を満たしてしまった日は、もやしを食べることで、不健康さも罪悪感も帳消しにしてくれるわけだ。
(つづく)