前王者・川崎フロンターレ、開幕2戦目でいきなり「正念場」

 30周年を迎えたJリーグのオープニングゲームとなった川崎フロンターレ対横浜F・マリノスの試合は、昨季の王者・横浜FMが勝負強さを発揮し2-1で逃げ切り、好スタートを切った。

 ただ、敗れた川崎も決して悪いデキではなかった。相変わらずボールキープ率は高く、中盤の橘田健人、脇坂泰斗、遠野大弥の3人でテンポよくパスを回し、左サイドのマルシーニョのスピードを活かし何度もチャンスを作った。今季も攻撃的なサッカーは健在だ。

 では、なぜ勝てなかったのか。それは、川崎のストロング・ポイントでもある決定力の高さが見られなかったこと。ゲームを支配する能力は高かったが、最後のフィニッシュの部分で決めきれなかった。

 原因は、チームの得点源だったレアンドロ・ダミアン、小林悠が故障離脱していることが大きい。この試合でワントップに入った宮代大聖は、万能タイプのFWだがDFを背負ってプレーするのは得意ではない。そういう意味でダミアンの離脱は痛い。

 現段階で小林が復帰するのは3月末と予想され、ダミアンは3月中に来日し、そこからコンディションを上げると考えれば、復帰は4月末か。特にダミアンの復帰の時期は大きなカギを握っている。決定力はもちろんのこと、前線で潰れ役にもなれる。宮代と併用すれば、宮代の良さを引き出してくれるだけでなく、周りの選手に与える影響も大きい。

 川崎の次節の相手は鹿島アントラーズ。プレシーズンマッチでJ2のチームに連敗するなど心配されたが、開幕戦で京都相手に2-0で勝利し好スタートを切っている。一方の川崎は、開幕戦で一発レッドで退場になったジェジエウが出場停止。さらにジェジエウとセンターバックを組んでいた車屋紳太郎も、筋肉系のトラブルで後半16分に途中交代。チームからの正式な発表はないが、鹿島戦の出場は難しいだろう。

 誰をセンターバックで起用するのか。開幕2戦目にして、いきなり正念場を迎えた川崎。王座奪還のために連敗は許されない。しかも、相手が優勝を争うであろう鹿島ならなおさらだ。鬼木監督が、どんな選手起用と采配を見せるのか。注目の試合になりそうだ。

(渡辺達也)
1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップアジア予選、アジアカップなど数多くの大会を取材してきた。

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