日本人の平均身長が28年間まったく伸びていない意外な理由とは?

 学校に通う児童・生徒の発育状況、健康状態を確認するために国が毎年行っている「学校保健統計調査」。それによると、昨年発表された令和3年度の17歳男性の平均身長は170.8センチ。実は、1994年の170.9センチをピークにずっと横ばいの状態が続いていたが、ここに来て0.1センチのダウン。つまり、28年もの間、日本人の身長はまったく伸びていないのだ。

 ちなみに戦後間もない昭和23年(1948年)は160.6センチしかなく、それから約45年で10センチ弱伸びたことに比べるとあまりの違い。一般論として人間の身長は、「遺伝」「生活習慣」「ストレス」「病気の有無」など複数の要因に左右されると言われている。

 なかでも大きな影響を及ぼしていると考えられるのは生活習慣。厚生労働省「国民健康栄養調査」によれば、令和元年度の日本人男性の1日あたりの平均摂取カロリーは1903カロリー。これは食糧難だった戦後混乱期並みの水準だ。

「終戦後から高度成長期にかけてカロリー摂取量は大きく上昇し、70年代半ばには今より300カロリー以上も多かったんです。しかも、肉類や卵、乳製品などはそれぞれ摂取量が5〜20倍に増え欧米型の食生活に近づいたことも、平均身長の伸びに貢献しています」(医療ジャーナリスト)

 あと、体重2500グラム未満で誕生する「低出生体重児」の割合が増えたことも大きく関係している。国立成育医療研究センターは、17年に発表した論文「低出生体重児の発症機序及び長期予後の解明に関する研究」の中で、強い相関関係にあることを認めている。

「妊娠中の栄養不足や、予定日前の早産の女性が増えているなど複数の要因が考えられます。でも、平均身長の低下は日本だけの話ではなく世界中で起こっていること。世界一の長身大国で知られるオランダは今世紀に入ってから1センチ以上も低くなっています」(前出・ジャーナリスト)

 今後も続くと予想されている平均身長の低下。180センチ以上の高身長のイケメンは、ますます貴重な存在となるかもしれない。

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