北朝鮮から不正に輸入したシジミの産地を偽って販売したとして、山口県警は不正競争防止法の疑いで山口県下関市の商社や埼玉、福岡の水産会社など数十カ所を家宅捜索した。今年だけでもあらゆる水産物の産地偽装が明るみになっているだけに、もはや驚きの声すら上がらなくなっている。
「捜査関係者によると、本来は輸入が禁止されている北朝鮮産のシジミをロシアや中国、韓国を経由して不正に仕入れ、青森産やロシア産などと偽って販売した疑いがあるといいます。また、山口県警は国内ネットワークを通じて北朝鮮に資金が流れた疑いがあるとみて、慎重に捜査を進めるとしています」(社会部記者)
今年に入って、アサリやワカメ、ウナギ、マグロなど数々の産地偽装問題が報じられてきたが、産地偽装がなくならない背景には物価高もあるという。水産物の高騰により、できるだけ安く商品を仕入れた外国産の商品を国産に偽装して高く売る業者が後を絶たないのだ。そのため、今後も物価高が継続するのであれば、産地偽装は減るどころか増える可能性もあると専門家は指摘している。
「原因は他にも、罰の軽さがあると考えられます。産地偽装は不正競争防止法違反にあたり、5年以下の懲役または500万円以下の罰金、法人においては5億円以下の罰金が科される可能性もあります。しかし実際には産地偽装に不正競争防止法が適用されるケースは少なく、あれだけ話題になった『熊本県産』と偽装されたアサリの問題でも逮捕者が出ていません。単に食品表示法に基づく表示の是正や再発防止が指示されるだけでは、産地偽装を続ける業者が減らないのも当然の話です」(フリージャーナリスト)
消費者が安心して購入できる環境づくりをして欲しいものだ。
(小林洋三)