M-1審査員・博多大吉にあって、グランプリのウエストランドにないものは?

 漫才日本一決定戦「M-1グランプリ2022」決勝が12月18日、ABCテレビ・テレビ朝日系で生中継され、お笑いコンビ・ウエストランドが優勝。18代目王者に輝いた。

 決勝に残ったのは悪口漫才のウエストランド、しゃべくり漫才のさや香、ゆるい雰囲気のネタが持ち味ロングコートダディの3組。優勝したウエストランドが決勝で披露したのは「あるなしクイズ」のネタだ。田舎にはあるけど都会にはないものとしては「引け目。いくら田舎で成功しても都会では通用しないという引け目を常に感じている」。大阪にあるけど東京にないものは「自分たちのお笑いが正義だというこり固まった考え」などと毒舌ぶりを発揮した。

 審査員の1人のダウンタウン・松本人志は「こんな窮屈な時代ですが、キャラクターとテクニックさえあれば、こんな毒舌漫才もまだまだ受け入れられると、すごく夢を感じた」と絶賛した。

 今年の審査員は松本のほか、山田邦子、博多華丸・大吉の博多大吉、ナイツの塙宣之、サンドウィッチマンの富澤たけし、立川志らく、中川家の礼二の7人。決勝では審査員全員が頭を抱えて悩んでいたが、結果は大吉以外の6人がウエストランドに投票した。大吉にとってはバツが悪い思いをしたかもしれない。

「ウエストランドのような悪口漫才は人を傷つけるとして、今の時代では風潮に合わないとの指摘は多く見られました。その点、さや香は〝これぞ漫才〟と思わせる正統派。特定の誰かを傷つけることもなく、老若男女を問わず、幅広い層に支持されています。ウエストランドではなく、さや香を選んだ大吉については〝大吉先生は優しいからウエストランドは選ばないと思った〟〝ウエストランドと違って、心が温かい〟などと漫才好きから評価されていました」(エンタメ誌ライター)

 大吉にあってウエストランドにないものは他者を慮る〝優しさ〟か。

(石田英明)

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