「ウクライナは10日間で陥落するはずだった」英報告書の衝撃とロシア航空機が連続墜落の謎

 英王立防衛安全保障研究所(RUSI)が、今年2月から始まったロシアによるウクライナ侵略に関する報告書を公表。そのなかで、当初プーチン政権は「ウクライナを10日間で掌握し、8月までに併合する計画だった」とする分析結果を発表した、と複数の欧米メディアが伝えた。

 報道によれば報告書は11月30日付で、内容はウクライナ軍からの聞き取り調査が大きく反映されているという。

「報告書では、露軍の侵略の目的を『ウクライナの征服』とし、そのためにスピードを最重要視し、まずはキーウにある最高会議や中央銀行などに奇襲攻撃をかけて、占拠。同時に、ゼレンスキー政権指導部を制圧する計画だったと分析しています。しかもこの時、プーチンがキーウ北方に送った露軍の戦力は、ウクライナ軍のなんと『12倍』だったと言うのだから驚くばかりです」(全国紙記者)

 ところが、このスピード重視作戦が裏目に出たのか、秘密保持を徹底したがゆえに、前線部隊に作戦内容などが伝わらず、首都攻略失敗につながった可能性があるというのだ。

「部隊は演習目的で国境付近に集められたものの、結局、侵略作戦の実施が伝わったのは24時間後。つまり、軍隊を集めただけで何の指示命令もないまま、ただ無駄な時間だけが過ぎたということ。単なる烏合の衆になってしまったというわけです」(同)

 要するに、今回の戦争はスタート時点から作戦伝達方法などで問題が山積しており、10カ月が経過する現在も、そこがクリアできないことが最大の敗因だとされる。

 さらに、ロシアの独立系メディア「The Bell」によれば、ウクライナ侵攻開始以降、ロシアでは航空機の墜落事故が多発。10月までに少なくとも10件の事故が発生し、市民が巻き添えになっていると伝えている。

「直近では2日に、ロシアの『ミグ31戦闘機』が、離陸直後に東部ウラジオストク近郊の森林に墜落しています。乗組員は脱出したようですが、原因については今のところ明らかにされていない」(同)

 また、10月18日にも『スホイ34爆撃機』が、南部クラスノダール地方のエイスクの集合住宅に墜落し、民間人15人が死亡。続く同23日にも、東部イルクーツクで戦闘機が住宅に突っ込み、2人が死亡するという悲惨な事故が相次いでいる。

「英国防相は、熟練パイロットの多くがウクライナで撃墜されたため人員不足となり、空軍の任務を遂行するために、民間軍事会社ワグネルの契約社員として働いている退役軍人に頼らざるを得ない状態だとも指摘しています。一方、『問題はパイロットよりもメンテナンス』とする軍事アナリストも多く、つまりロシア軍は現在、人も武器も枯渇してニッチモサッチモいかない状態といえるでしょう。しかも報告書にあるように“開戦”当初から指示命令系統がズタズタだったのであれば、ウクライナに反撃されるのも当然の帰結です」(同)

 ドイツのショルツ首相は先月30日、ベルリンで開かれた安全保障会議で「ロシアはもはや戦場でウクライナに勝つことはできない」との見方を示したが、その言葉が真実味を帯びてきている。

(灯倫太郎)

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