10億人以上が「難聴予備軍」 電車通勤中の安全なイヤホンの使い方

 電車での通勤時、イヤホンを使ってスマホで音楽を聴いている人も多いと思うが、実はこうした音響の影響で難聴になる「音響性難聴」の恐れのある人が世界中で10億人以上もいるという研究結果が、医学誌「BMJグローバル・ヘルス」に発表された。
 
 発表によると、特に12歳~34歳の若者はイヤホンやヘッドホンの他、クラブやバーなどでも安全ではない音楽の聴き方をしているといい、その影響で耳の感覚細胞に負担がかかり、10億人以上が難聴や耳鳴り、めまい、場合によっては聴覚を失う可能性もあるという。

 WHOでは、80dB(デシベル)の音を1週間に40時間以上、98dBの音では1週間に75分以上聴くと難聴リスクが高まるとしている。ちなみに、電車の車内の騒音は70〜80dBとされており、車内でイヤホンをして音楽を聴く場合は当然それ以上となる100dBを超える音量に設定している人も多いという。それを通勤の行きと帰りで繰り返せば、耳への負担はかなりのものになるだろう。

 イヤホンで安全に音楽を聴くためにはどうすればいいのだろうか。

「基本的なことですが、電車内でも音量を上げすぎず、1時間に1回は5〜10分程度休憩をとるといいとされています。また、ノイズキャンセリング機能があるものを使用すると外部の音をシャットアウトし、音量を下げることができるのでおすすめです。最近では在宅ワークをする人も増え、家族の迷惑にならないためにイヤホンやヘッドホンを使用して音楽を聴く人も増えているといいます。しかし、イヤホンやヘッドホンが原因で発症した難聴は基本的には治らないとされるため、大音量や長時間での使用は避けるようにしましょう」(医療ジャーナリスト)

 違和感を覚える前に心がけたい。

(小林洋三)

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