24年から導入案「J1の20チーム制」に異議アリ「日本サッカーを弱体化させる」

 11月13日、3年ぶりに行われたJ1参入プレーオフ。来季、J1でプレーするのかそれともJ2になるかで、選手にとって天国と地獄の差があるだけに、両チームとも“勝ちたい”という気持ちの入った好ゲームになった。試合は1対1で引き分け、京都サンガF.C.がJ1残留を決めた。

 ここ2年は新型コロナウイルスの影響でJ1参入プレーオフが行われなかったが、“入れ替え戦”はサッカーの醍醐味。3年ぶりに面白い試合を見せてもらった。

 ただ、ここにきてJ1~J3のクラブ数を各20にする案が検討されているという。早ければ24年のシーズンから導入。それが実現すれば来季の大会方式が変更され、J1からの降格は1チームとなり、J2からの昇格が3チームになる案が示されたという。

 これ以上、J1のチームを増やすことがJリーグのレベルアップに繋がるのだろうか。試合数が増えて選手への負担が増えるだけではないか。

 ここ6年間で4度のJ1優勝を飾っている川崎フロンターレでさえ、ACLではベスト8進出が最高成績で3回もグループリーグで敗退している。今シーズンの王者、横浜F・マリノスもACLではベスト16で神戸に負けている。浦和が決勝に進出したとはいえホーム・アドバンテージがあったことは大きい。ハッキリ言ってJリーグのレベルは上がっていない。

 その原因は、選手の海外脱出。ヨーロッパの主要リーグでプレーしている日本人選手は60人を超えている。ほとんどがJリーグでレギュラーだった選手で、そのうちの20人以上が日本代表クラス。そういうレベルの選手が日本を脱出すれば、国内リーグのレベルが下がるのは当然のこと。

 国内トップリーグのJ1を現行の18チームから20チームに増やすことは、大味な試合が増えるだけで、リーグのレベルアップ、日本サッカーのレベルアップには繋がらない。J1に魅力を感じなくなれば、若い世代は早めに海外を目指し、国内のリーグが空洞化してしまう。

 どうせ改革をするなら、J1のクラブ数を減らしたほうがいい。12~14チームに減らして、レベルの高い選手を集めて試合をさせたほうが、日本サッカーの強化に繋がるのではないか。

(渡辺達也)
1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップアジア予選、アジアカップなど数多くの大会を取材してきた。

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