住宅ローンに加入できない!?「糖尿病」名称変更に出た異論

 11月7日、日本糖尿病協会は都内でセミナーを開催し、「糖尿病」という名称を変更する方針であることを明らかにした。清野裕理事長によると糖尿病による誤った認識が偏見や差別を助長しているといい、イメージを払拭するとしているが、これに疑問の声が相次いでいる。

「同協会によると、糖尿病患者を対象にしたインターネットアンケートを実施したところ、9割が糖尿病という名称に不快感や抵抗感があると回答。さらに、8割が名称の変更を希望したといいます。マイナスのイメージが強く、病名が原因で差別を受けることもあるといい、清野会長は差別の具体例として『生命保険や住宅ローンに入れない』『就職が不利になる』などを挙げたのです」(社会部記者)

 しかし、これにネット上では《生命保険や住宅ローンに入れないのは名称による差別ではなく、健康上の問題による判断。糖尿病の呼び方を変えても状況は変わらないのでは?》《糖尿病であることで受ける不利益を名前を変えれば無くなると思っているなら、さすがに安易な考え》《病名が変わっても症状は変わらない。そもそも、協会の会長が生命保険や住宅ローンに入れないのを『差別』だと思っていること自体、マズいのではないか》と異論が続出している。

「イギリスの糖尿病学会が糖尿病患者に対して調査を実施したところ、会社で働く6人に1人が『糖尿病であることで職場で差別を受けている』と回答したといいます。ちなみに、英語で糖尿病は“蜜が通り抜ける”という意味の『Diabetes Mellitus』と表記され、日本語の糖尿病の語源になったとされています。こうしたダイレクトな表現が差別を助長してしまう可能性は否定できませんが、指摘されているように生命保険や住宅ローンに入れない原因が差別なのかというと、違うように思えます。ただ、患者さん自身が糖尿病という名前に不快感や抵抗があるというのであれば、それに関して名称変更は検討されるべきだとは思います」(健康ライター)

 日本糖尿病協会は今後1〜2年で新しい病名を提案したいとしているが、いったいどんな名称に変更されるだろうか。そして、名称変更によって患者への対応にも変化が起きるのだろうか。

(小林洋三)

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