糖尿病の夫を支える人気ブロガーが明かす「コロナとの闘い」「生活習慣」

 この2月に「うちの夫が糖尿病になっちゃった!ズボラ夫が血糖値を下げた方法」(藤田紘一郎・医師監修、日本実業出版)という、糖尿病を患うことになった旦那さんとの闘病記を上梓したばかりの漫画家で人気ブロガーのマルコさん。「2型糖尿病」を抱える夫と幼い子どもと共に、今度は新型コロナウイルスとの闘いが始まった。

「血糖値が高い状態が続く糖尿病になると細菌・ウイルス・真菌などへの抵抗力が弱くなって感染症全般に、特に体調を崩した時などはなおさらかかりやすくなるので、これだけ新型コロナウイルスの感染が拡大している今はかなりいろいろなことに気をつけています。外出後のうがいや手洗い、アルコール殺菌などはもちろん徹底して、『3密』なんてもってのほか、人の集まる所へはとにかく行かないようにしています」

 高齢、喫煙、基礎疾患があると重症化しやすいと言われる新型コロナウイルス。高齢、喫煙は簡単にイメージできるが、重病化しやすい基礎疾患を改めて確認すれば、中国国立感染症対策センターの45000人の致死率データによると心血管疾患(10.5%)、糖尿病(7.3%)、慢性呼吸器疾患(6.3%)、高血圧(6%)、がん(5.6%)という致死率になっている。全体の致死率が2.3%で持病なしは0.9%なので、これら基礎疾患がいかに致命傷となりかねないかが数字を見れば分かる。だから、とりたてて持病を持たない人に比べてより日常生活の“闘い”の深刻度は高い。
 逆に言えばそれくらいしか対策もないとも。「備えあれば憂いなし」とも言うが、いくら備えてもそっと日常に入り込んでくるのが目に見えない敵・コロナの苦々しいところだ。

「それから規則正しい生活リズムで睡眠は充分にとるようにしています。食事もバランスの良いものを3食とって、筋トレや屋内でできる運動もちゃんと行うようにして。ただそれも、コロナウイルスがこれだけ広がっているからというのではなく、もともと対糖尿病で心がけていることでもあるんです。逆にある意味不幸中の幸いというか、持病があるから気をつけることで、仮に病気がなかったらもっと軽はずみな行動をとってコロナにかかっちゃったりしているかもしれませんね」

 マルコさんの旦那さんの場合、月1回糖尿病とは別の持病でかかりつけ医から薬の処方を受ける以外は食事と運動で糖尿病をコントロールできている状態で、とりたてて大きな不便は感じていないという。ただ、医療体制も飽和に近づきつつあり、重度の糖尿病患者の中には取り残されてしまっているケースもあるという。

「糖尿病で車いす生活を送る方が、かかりつけ医のところでコロナの感染者を受け入れることになったために出入り禁止になったという報道がありました。いざという時に病気への配慮を求める『ヘルプマーク』を付けて外出されているそうですが、そのヘルプマークには次の搬送先病院を書き入れることが出来ずに不安をぬぐえないそうです。実は夫は半年ほど前に全く別の病気で手術したんですが、まだ経過観察入院ができないままで。薬の処方も含めて、もし明日にでも医療の現場で受け入れ体制が取れないような事態になったらと考えると、他人事とは思えません」

 4月20日には、がん患者の駆け込み寺とも言うべき、東京・江東区の「がん研有明病院」でもスタッフにコロナ感染者が出たため、予定されていた8割の手術を延期すると伝えられた。ニュースでは、「がんで死ぬか感染症で死ぬか」という、手術待ち患者の悲痛な声が紹介されていた。

「持病もなく健康な人にとっては医者や病院は困った時にあればいいものなんですが、普段から病気を抱えている人とその家族にとってはライフラインとして一時も欠かすことのできないものなんです。だから、マスクや消毒液の必要以上の買い溜めは絶対に止めて欲しいです。医療の現場に届かないなんて、あってはいけない事態だと思います」

 普段は「あって当たり前」と思って見向きもしなかったものがなくなると人は不安を覚えてパニックに陥るものだが、「ないと困る」人にとってはパニックでは済まされない。即、命にかかわるかもしれないからだ。がん治療との因果関係は不明ながら、今年頭に乳がんで放射線治療を行っていた俳優の岡江久美子さんの訃報も伝えられたばかりだ。

「糖尿病だけでなく、がんを患った家族を持つ人も同じように不安でしょうし、病気以外でも例えば子供、保育園の保育士さんが感染した話などを聞くと、同じ幼い子供を持つ親として心が痛みます」

 実はマルコさん、4月時点で妊娠8カ月。近々出産を控えているのだとか。そろそろ世の中全般が落ち着き、全てのお母さんが安心して出産を迎えられる環境になることを祈りたい。

(猫間滋)

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