11月7日、経団連が「新卒採用」以外の採用で使われる「中途採用」という言葉を使用するのをやめ、「経験者採用」に統一する方針を固めたことが分かった。来年から会員企業などに使用するよう呼びかけるというが、これに疑問の声が相次いでいる。
経団連の十倉雅和会長によれば、「中途」という言葉は消極的なイメージを与えることから、転職に対するイメージを改善し雇用が流動化して経済を活性化させるために「経験者採用」に変更するという。
この方針は「経営労働政策特別委員会報告」の素案に盛り込まれ、来年からまずは経団連の書類やアンケートで表記を統一し、会員企業にも使用を呼びかけていく。
しかし、この呼称の変更にネット上では《氷河期世代で再就職を目指す場合、経験がない場合でも「中途採用」であれば応募しようと思うが、「経験者採用」では未経験者が応募しづらくなる》《そもそも中途採用という言葉に消極的なイメージを受けたことがない。経験者採用にしたところで転職が活発になるとはとても思えない》《「経験者採用」では職歴がない人がチャレンジしづらい世の中になる。むしろ無職の人にとっては精神的な負担になる》など反対意見が殺到している。
「就職経験がない人や違う業界への就職を目指す人だった場合、『経験者採用』では躊躇する場合が出てくるでしょう。中途採用という言葉に消極的なイメージがあるかどうかは措くとしても、『中途』と『経験者』では言葉の意味合いがまったく違いますからね。経団連にはもう少しセンスのある言葉を選んで欲しいものです」
いずれにせよ「経験者採用」が定着することはなさそうだ。
(小林洋三)