2年連続の対戦となった日本シリーズの盛り上がりをよそに、球界のあちこちで〝裏プロ野球ニュース〟が飛び交っている。CSを逃した常勝軍団で起こった電撃人事の背景や大補強で金に糸目は付けない巨大戦力軍団のマル秘契約など、不穏な動きに大揺れなのだ。
先のドラフト会議で意中の高校生を引き当てた巨人の原辰徳監督(64)。14年ぶりの幸運に顔を紅潮させて興奮した様子だったが、実は腹心コーチたちの造反行為に頭を悩ませている真っ只中だった。巨人球団関係者がただならぬチーム状況を打ち明ける。
「元木大介1軍作戦兼内野守備コーチ(50)が野手陣を囲い込んで、原采配のネガティブ・キャンペーンを吹聴しています。どうやら〝投壊〟を原因に優勝を逃した昨季オフに『私の責任です』と詰め腹を切らされた宮本和知元投手コーチ(58)の姿と自身をダブらせたようで、4位に終わった責任を負わされない自己防衛のためです。全権を握る原監督が打順から投手起用まで決めていただけに『全部、監督のせいだろ!』とシーズン中から周囲に言い散らしていました」
さらに、埋めがたい距離感が生じたコーチがもう1人。来季からファーム総監督に異動した桑田真澄コーチ(54)である。先の球団関係者が続ける。
「投手起用を巡って衝突が絶えませんでした。原監督に三顧の礼で迎えられたはずなのに、リリーフ陣の連投制限や調子のいい若手を進言する程度の役割しか与えられませんでした。親しい関係者には『もう、やってられない』と弱音を吐く場面も見受けられた。一度は球団に辞表を提出したともささやかれている」
しかしながら、2人を簡単にクビにできないチーム事情もある。スポーツ紙デスクが後を引き取る。
「下手をすればチームが崩壊しかねない。グラウンド内外で面倒見のいい元木コーチは、岡本和真(26)や吉川尚輝(27)ら若い主力野手の心を完全に掴んでいるだけに、いなくなれば選手の士気に大きな影響が出るため、ヘッドから降格という処分で落ち着きました。もちろん、桑田コーチにもシンパがいます。クローザーの大勢(23)やエース格に成長した戸郷翔征(22)ら桑田の指導に心酔する一定数の主力投手です。球団は慰留のため育成部門の統括ポストを打診したといいます」
全権監督が招いた孤立は深まるばかり。そんな窮状を打破するため、自ら苦肉の策で〝デーブ〟の愛称で知られる大久保博元1軍打撃チーフコーチ(55)の招聘に乗り出した。
「まさに原監督とデーブは〝心の友〟の間柄ですから。その関係をより強固にしたのは、藤田元司元監督の存在でしょう。巨人に引っ張ってもらい〝オヤジ〟と慕うデーブはもとより、原監督にしても家族ぐるみの付き合いがあった。同じ師を持つ2人は選手時代からウマが合い、遠征先で行動を共にするばかりか、引退してからも球場やキャンプ地で顔を合わせるたびにゴルフ談議に花を咲かせるほど。反対に桑田コーチとの相性は最悪でした。用意されたのが背番号のないファームの名誉職なのもうなずけます」(前出・球団関係者)
一方、この人事は孤高を貫く次期監督候補の阿部慎之助ヘッド兼バッテリーコーチ(43)にも好影響を及ぼしそうだという。
「阿部ヘッドのお父さんはデーブが経営する居酒屋の常連なんです。よく2人でカウンターに並んで、息子の話題を肴に飲んでいるのを見かけます。当然、デーブと阿部との親交も深い。いまだに阿部ヘッドを恐れて距離を取る若手も多いですが、中間管理職としての立ち回りに定評のあるデーブが間に入ることで、双方のコミュニケーションが円滑になるでしょう」
単なる仲良し内閣にならなければいいが、巨人浮上のカギは大久保コーチが握っているともっぱらなのだ。
*週刊アサヒ芸能11月3日号掲載