2019年は、清宮にとって試練のシーズンとなりそうだ。
北海道日本ハムファイターズのスローガンは「驀進」。その言葉通り、新人の吉田輝星は自主トレ期間中から渾身のストレートを投げ込んでいたが、清宮幸太郎はそれを横目でチラ見するだけだった。
「このオフ、清宮は一軍定着、レギュラー獲得を目指して追い込むつもりでいたんです。ところが、意気込みに体が付いていかず、激しい自主トレで昨年12月に右手首を故障してしまいまた」(スポーツ紙記者)
しばらくは満足にバットを振り込めなかったが、ようやく1月10日に打撃練習を再開。アリゾナの一軍キャンプには予定通り帯同しているが、故障した右手首の痛みが再発しないよう、まだ全力でバットを振ることができない状態のようだ。
かたや、吉田はすぐにでもシーズンインできそうな剛球を投げ込んでいる。年明け早々の千葉県鎌ヶ谷市の二軍施設では、明暗を分けた一学年違いのドライチの姿が繰り広げられていた。
「新人の吉田がガムシャラに飛ばし、清宮が開幕戦に照準を合わせ、ゆっくりと調整しているとの見方もできます。でも、今の清宮には別の見方もされています」(前出・スポーツ紙記者)
別の見方とは、ケガの多さだ。ルーキーだった昨年の今頃も右手親指の骨挫傷で思うような練習ができなかった。限局性腹膜炎も患い、シーズン中も脇腹痛などで苦しんだ。「ケガのデパート」、そんな有り難くない異名も陰で囁かれているそうだ。
「早実在学中からプロの練習に付いていけるのかどうか、懸念するスカウトも少なくなかったんです。早実野球部の練習量は決して多くない。その点、吉田の金足農は前時代的な猛練習で知られています。結果的に吉田の頑丈な体も養われました」(球界関係者)
早実の先輩、斎藤佑樹も故障が多い。清宮はアリゾナで徐々に復調の兆しを見せている。出遅れた分を早く取り戻して、驀進中の吉田に先輩としての矜持を見せてほしいところだ。
(スポーツライター・飯山満)