プロ初勝利の吉田輝星、デビュー戦前には「10年早い!」の苦言

 昨夏の甲子園ヒーロー・吉田輝星がついにベールを脱いだ。6月12日、セ・リーグ1位の広島東洋カープを相手に先発デビュー、5回4安打1失点4奪三振という満点の出来でプロ初勝利を挙げた。

「前日の11日の試合途中、翌日の予告先発投手が発表され、吉田の名前がアナウンスされると、ビジターのマツダスタジアムながら大歓声が沸き上がりました」(スポーツ紙記者)

 吉田は二軍で開幕を迎えた。イースタンリーグで対戦した某コーチによれば、昨夏の甲子園大会で見せたストレートは完全復活していないと言っていた。しかし、

「真っ直ぐだけではプロでは通用しないことが分かっているのでしょう。低めに変化球を集めるなど、変化球でもストライクが確実に取れるようにと、課題を持って取り組んでいました」(同前)

 そうした努力が実を結んだのだろう、プロ初登板ではストレートも十分通用するように見えた。そんな努力家の吉田だが、デビュー戦前には首脳陣から苦言を頂戴することもあったという。「10年早い」というのである。どういうことか。

「6月4日、イースタンで一軍昇格のための調整登板があったのですが、その日のウォーミングアップで、吉田は派手な紫色のグローブで現れたのです」(TV局スポーツ部員)

 紫色といえば、母校・金足農のトレードカラーである。吉田はそのかなり派手なグラブをチームメイトに冷やかされていたが、ご満悦といった表情だった。だが、その日の登板では巨人相手に3回6安打6失点と大炎上。

「グラブの色を派手にするなら、結果を残してからということでしょう。日ハムには新人選手の道具に関する失敗例がありますからね。清宮の1年目、スポーツメーカーがアドバイザリー契約を結びたいと様々な色、形、重さのバットを持ち込みました。それも複数のメーカーが。練習でいろいろなバットを試しているうちにシーズンが終わってしまいました」(球界関係者)

 同じ過ちを繰り返すなというわけだ。ただ、吉田は「失敗すると、それをバネに奮起するタイプ」(同前)というから、次の登板では怒られることを承知の上で、その派手な紫グローブを披露してもらいたいところだ。

(スポーツライター・飯山満)
 

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