「投稿の削除や法的措置を含めた対応を」任天堂が注意喚起した理由とは

 10月11日、任天堂株式会社の広報による公式TwitterがYouTube等のネットサービスにおける著作物利用に関し、ガイドラインの参照を呼びかけた上で「公序良俗に反する利用や、故意にゲームのルールを誤解させるような行為、ゲームやキャラクターの価値や世界を著しく損ねる行為、それらを助長・便乗するような行為に対しては、投稿の削除や法的措置を含めた対応を行うことがあります。ご注意ください。」と、規約違反に当たる行為に釘を刺した事が話題となっている。

 「任天堂はYouTube等でのいわゆる『ゲーム実況』と言われる動画コンテンツに非常に協力的な考え方で、同社コンテンツを使った動画等のアップによる収益化も認めています。ゲームのプレイ動画が公開されてしまうことにより、商品を購入する人が減ってしまいそうにも思えますが、実際には『ゲーム実況』をきっかけに訴求力は上がっています。『ゲーム実況』動画の許可を出していなかったコナミが、2020年に発売した人気シリーズ『桃太郎電鉄』の新作において公式に使用許可を出した際、SNSやYouTubeを介して“桃鉄動画”は大バズリ。発売からわずか2ヶ月で200万本セールスの大ヒットになった例もあります」(情報誌ライター)

 ネット上の著作物利用に寛容な任天堂が、法的措置を匂わせたのには理由があるようだ。

「8日、ある配信者が『Nintendo Switch』の大ヒット作『スプラトゥーン3』を使った配信企画を実施し、物議を醸しました。同作は味方チームと敵チームに分かれ、それぞれインクを塗り広げて陣取り合戦をするというアクションゲームなのですが、配信者達はこのゲーム配信をする際に、敵チームのインクの色がクロマキーで透過されるように設定。そして、配信のバックグラウンドでは艶ビデオを再生していました。つまり、敵チームにインクを塗られてしまうことにより、配信上では艶ビデオがモロ映りになってしまうわけです。もちろん、プラットフォーム側もアダルトコンテンツは“BAN”の対象にしているので、ゲームの中で敵が優勢になれば、自身の配信が続行不可能になってしまうかもしれないという、いろいろな意味でハラハラを煽る企画に。配信はたちまち話題になり、多くの批判を呼び炎上。配信者及び所属団体は9日に謝罪するという展開になりました。このタイミングで任天堂が注意喚起ツイートをしたこともあり、ゲームファンからは《艶スプラの件で任天堂激おこじゃん》《自社作品をあんなとんでもない使われ方したら法的措置も取るよね》《どんどん取り締まってほしい》という声があがっています」(前出・情報誌ライター)

 幅広い年齢層のファンがいる作品だからこそ、コンテンツ利用のモラルが問われている。

(浜野ふみ)

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