「10月終戦宣言」も囁かれ…プーチン・習会談でわかった中露「今後の戦略」

 9月15日、ウクライナが反転攻勢に出る中、ロシアのプーチン大統領が中国の習近平国家主席とウズベキスタンで対面会談した。これは、同日から開催された中国とロシアが主導する枠組み「上海協力機構」の首脳会議に合わせて行われたものだが、2人が面と向かって会談するのはウクライナ侵攻後初めてとあり、世界中の注目が集まっていた。

「会談でプーチン氏は、『ウクライナ情勢を巡る中国側の疑問や懸念を理解している』とした上で、習氏の『バランスの取れた姿勢を高く評価している』と述べました。一方、習氏も、『ロシアとともに変動する世界を発展へと導く主導的な役割を果たす用意がある』と述べましたが、要は、いろいろ問題はあるにせよ、反アメリカということでお互い結束していくことを、あらためて強調したにすぎません。ただ、ロシアへの経済制裁で、ヨーロッパがロシア産石油やガスへの依存度を下げる中、逆に中国は購入量を増加。中国がガスの代金をロシアのルーブルと中国の人民元で支払うことに同意したことで、ロシアはドルに代わる外貨を手に入れることが可能になった。一方、中国も、人民元が国際通貨としての地位が向上したことで、お互い、経済面でも『バランス』がとれたというわけです」(ロシア情勢に詳しいジャーナリスト)

 とはいえ、専門家の中には、「それでも中国は一線を引く」という声は少なくない。

「今回のウクライナによる反転攻勢の要因は、ロシア軍の武器・弾薬の激しい消耗にあります。当然、中国にも武器提供を打診しているはずですが、中国は同意していません。中国としても、世界からロシアと共闘しているとは思われたくないので、軍事支援はできない。つまり、中国はロシアを戦術的なパートナーとして利用しようとしているだけで、運命をともにする『戦略的同盟関係』であるとは考えていないということです」(前出・ジャーナリスト)

 中国にとって戦略的に重要なのは、あくまでもアメリカとの関係。アメリカとの関係が悪いときには、お互いが必要になり、アメリカとの関係を改善できるのなら、中国は簡単にロシアを捨てるはず、というのだ。

 一方、この会談の最中にも、ロシア国内では、ウクライナの攻勢を受けて終戦の声が強まっているといわれる。11月に行われるG20出席に意欲をみせるプーチン氏が、他国によるボイコットを避けるために、10月末にも「終戦宣言」を出すのでは、との情報もある。

 両国の動きに俄然注目が集まっているのである。

(灯倫太郎)

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