通販社会では意味なし?「高島屋」中国から完全撤退のホンネ

 6月25日、大手デパートの「高島屋」は、子会社である「上海高島屋」の店舗を8月に閉店し、中国から撤退することを発表した。「上海高島屋」は米中貿易摩擦の影響などで消費が減速しており、黒字化の見通しが立たないことから撤退を決めたという。
 
「高島屋は1993年にオープンさせたシンガポール店が大成功を収め、中国の台北や上海にも出店しました。しかし、2012年にオープンさせた上海店はオープンから3カ月後に日本による尖閣諸島の国有化で反日感情が高まり、当初から計画を下方修正せざるを得ない状況にありました。さらにここへ来ての米中貿易摩擦ですから、徹底的にツイていなかった印象です」(社会部記者)

 ただ、高島屋撤退の根本的な原因は米中貿易摩擦だけではないとする専門家もいる。
 
「中国商業連合会と中華全国商業信息中心が発表した17年中国小売企業100強ランキングよれば、100強に入った6割がネット通販企業で、その割合は増え続けると見られている。現在の中国では以前のような高級志向が薄れ、ネット通販でより安いもの購入したいという人が圧倒的に増えており、そうした中で高島屋としては、もはや勝負する意味がないということ。23日にはフランスの大手スーパー・カルフールも中国から撤退しましたが、これもネット通販企業の台頭が大きかったと言われています」(中国経済に詳しい専門家)

 中国市場が見限られた、といった方がよさそうだ。

(小林洋三)

ビジネス