「M-1グランプリ2022」の予選が今月から始まった。昨年は、史上最年長の錦鯉が王者となり、優勝した瞬間に49歳の長谷川が見せた涙は胸に迫るものがあった。優勝以降、テレビにCMに多数出演、半生がドラマ化されるなど、錦鯉ブームは今なお続いている。
M-1は2001年にスタート。中川家が初代王座に就いたが、当時は大会自体がかなり地味。エントリー数も、今ほど多くはなかった。翌02年は、松竹芸能所属のますだおかだが「吉本有利」の下馬評を覆して優勝。以降、松竹芸人が頂点に立ったことはない。
ところが、ますおかには疑惑がある。当時の出場規定であった結成10年以内を破っていたのではないか、というものだ(※15年から芸歴15年以内に改められた)。中川家は結成10年目のラストイヤーだった01年に優勝。剛いわく「ますおかは先輩」だという。公式プロフィールでは、中川家が92年、ますおかが93年に芸人生活を始動。中川家は吉本興業のタレント養成所、ますおかは松竹の養成所を卒業している。これにはあるからくりがあると、お笑いライターは言う。
「増田と岡田は短大のクラスメイトで、卒業後、増田は4年制大学の3年生に編入。岡田は専門学校へ進学し、松竹の養成所に入ります。でも、岡田は芸人になる気がなく、2人はそれぞれ会社に就職。ところが増田が9カ月で辞め、岡田を説得して退職させ、再び2人して養成所に入り直してコンビを組んでいます。2度も養成所に入っているので、剛は最初のほうをカウントして“先輩”という認識なのでしょう」
1度目の入所時は芸人活動をしていないため、ノーカウント。93年結成(始動)で間違いなく、翌94年に「第15回ABCお笑い新人グランプリ」で最優秀新人賞を受賞して、頭角を現した。
最近の芸歴詐称疑惑といえば、「R-1グランプリ2022」王者のお見送り芸人しんいちのケースがある。R-1準優勝者のZAZYがラストイヤーだった昨年、しんいちを「2年先輩」と表現したことで、疑惑が浮上した。
しんいちは、松竹でデビューした1年半後に退所。2年半ほど休業したあと、現在のグレープカンパニーに移籍した。この経緯は事前に、R-1主催局である関西テレビの担当者に報告済み。了承を得たうえでエントリーしているため、22年がラストイヤーで間違いなかった。
メジャーコンテストは芸人の運命をガラリと変える。「しんいち対ZAZY」の不正疑惑騒動で、ますおかはダークな過去を掘り起こされるハメになった。いい迷惑だ。
(北村ともこ)