かねてよりNASAと米ロッキード・マーティン社が開発を進めていた次世代型超音速旅客機「X-59」。31日、海外メディアは年内にもテストフライトを行うと一斉に報じている。
超音速旅客機は69年に英仏が共同開発したコンコルドが知られているが、問題だったのはジェット機を上回る大きな騒音。そのため、製造はわずか20機にとどまり、後継機の開発もなく03年で全機が退役している。
だが、次世代型超音速旅客機は静音化だけでなく燃費性能も劇的に向上。しかも、X-59は高度1万7000メートルでの飛行が可能で、現行の民間ジェット機の最高高度1万2000メートルより5000メートルも高い。ちなみにこれは航空自衛隊の主力戦闘機F-15よりも高い場所を飛ぶことを意味する。ただし、超高速飛行実現のために窓の設置の予定はなく、機外の景色を楽しむことは難しそうだ。
ちなみに遅くても10年以内に実用化される見通しだが、開発中なのはX-59以外だけではない。同じ米国のブーム・テクノロジー社が製造する55人乗りの「ブーム・オーバーチュア」はユナイテッド航空と購入契約を締結。日本でも昨年6月、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や三菱重工、川崎重工、IHI、スバルなどが参加する官民一体の超音速旅客機開発プロジェクト「ジャパン・スーパーソニック・リサーチ(JSR)」を発足させている。
「いずれも実用化された場合、現在のフライト時間のほぼ半分になることが想定されています。さらに、中国のスペース・トランスポーテーション社はマッハ5.7(時速約7000キロ)で飛ぶ極超音速旅客機の開発を進めています」(航空ジャーナリスト)
こちらの最高高度は2万9000メートル。実現すれば上海—ニューヨークを2〜3時間で移動でき、30年までの実現を目指すという。
「離陸は、通常の滑走路ではなく、スペースシャトルのように2基のブースターを搭載して垂直発射となります。仕組みそのものが異なるため、導入までにはもう少し時間がかかるとの見方もあります」(同)
ここまで来ると飛行機ではなくロケットと呼んだほうがいい気がするが…。
※画像はX-59(ロッキード・マーティン社ホームページより)