巨人が高橋尚成氏の臨時コーチ就任を発表したのは8月2日だった。「8月20日まで」の期限付きであること、そしてシーズン途中での臨時コーチ招聘にファンは驚かされた。
「仕掛け人は、原辰徳監督です。昨年もキャンプイン前に桑田真澄・現投手チーフコーチが招聘されたように、原監督の一存で決まりました」(スポーツ紙記者)
高橋臨時コーチは「コミュニケーションを大事にしたい」と就任会見(オンライン)で語っていたが、関係者によれば、8月4、5、6日に先発した山﨑伊織、堀田賢慎、直江大輔らの若手は、同コーチと話をしてからチームに合流していたという。
「3投手ともナイスピッチングでしたよね。直江は勝利投手にはなれませんでしたが、次回登板に期待が持てる内容でした」(前出・同)
山﨑は5月18日以来、堀田は約4カ月ぶりの勝ち星だ。直江を含め、前回登板と明らかに異なる点があった。直球の割合が多かった。強気に相手バッターの内角を攻め込んでいた。
「山﨑はスライダーとシュート、堀田はストレートが武器。直江にも直球とチェンジアップがあります。以前は『かわす』といった感じでしたが、相手バッターを攻め続けていました」(球界関係者)
高橋臨時コーチは現役時代、第1次原政権下で活躍し、日本シリーズでは「胴上げ投手」にもなっている。原監督が就任した2002年には自身初の2ケタ勝利もおさめた。その飛躍について、高橋臨時コーチがのちのインタビューで語ったところによると、原監督に「もっと直球(の割合)を増やし、相手打者を攻めるつもりで」とアドバイスされたのがきっかけになったそうだ。
山﨑、堀田、直江のピッチングもこれに重なる。高橋臨時コーチは原監督から学んだ強気の重要さを伝えたのだろうか。
「桑田コーチと高橋臨時コーチで教える内容に大きな違いはないはず。でも、人が変われば同じ内容でも違って聞こえることもあると思います」(前出・同)
今回の臨時指導を、来季の正式招聘への布石と見る向きもないわけでもない。高橋臨時コーチは自身の現役時代と同じ「左の先発」で、壁にぶつかったままの高橋優貴を気に掛けているという。高橋優貴が後半戦に復調したら、「来季の正式招聘」の話はより深まっていきそうだ。
(スポーツライター・飯山満)