旧統一教会「関係議員」は100人超!“ズブズブ国会”に「カルト防止法」求める声

「正直、僕自身が個人的にまったく関係がないので、なんでこんなに騒いでいるのか、正直な話、よく分からないというのがあります」

 先月29日、記者会見で旧統一教会と政治との関係について聞かれた自民党の福田達夫総務会長が、こう答えたことで、政府与党内が大揺れに揺れたことは記憶に新しい。

 福田氏の発言を受け、31日には岸田文雄総理が「社会的に問題になっている団体との関係については、政治家の立場からそれぞれ丁寧に説明をしていくことは大事だと思っています。国民の皆さんの関心も高いわけですので」と、初めてこの問題に言及。

 しかし、安倍晋三元総理大臣の弟である岸信夫防衛大臣も選挙の際、旧統一教会関係者から支援を受けていたことを悪びれる様子もなく公表するなど、改めて政治と宗教との深いかかわりがクローズアップされている。自民党を中心に、同教会と関係があった現職国会議員は100人を超えているという。

 そんな中、SNSを中心に巻き起っているのが「反カルト法を導入すべき」という声だ。「反カルト法」が施行されている、フランスの社会事情に詳しいフリージャーナリストが語る。

「フランスには2001年6月に制定された『反セクト法』という法律がありますが、『セクト』とはすなわち社会的に警戒を要するカルト団体のことを指すことから『反カルト団体法』とも呼ばれています。立法のきっかけは80年代、ヨーロッパ各地で旧統一教会に入信した信者と家族の間で問題が頻発。それを受けたフランスのピエール・モーロワ首相(当時)が調査に着手。その後、国会に調査委員会が設置され『人権及び基本的自由を侵害するセクト団体に対しての予防と規制を強化しなくてはならない』との理由から上下両院で約2年審議し、結果この『反セクト法』を成立させたという経緯があります」

「反セクト法」は、教義の内容云々ではなく、その団体が反社会的な行動をしているかどうかで判断され、その基準となるのが「法外な金銭要求(献金など)」「元の生活からの意図的な引き離し」「子供の強制的な入信」「反社会的な説教」など、10項目。

「フランスでは、どれかこの1つでも該当すれば『カルト団体』リストに載るため、この法律を施行後にフランスでの活動を諦め、他国へ活動拠点を移していったカルト団体も少なくないといわれますからね。効果は絶大だったようです」(同)

 ならば、この法律を日本でも即導入…と思うのだが、日本の場合はなかなかハードルが高いというのだ。

「フランスと日本との決定的違いは、フランスが1世紀以上前から厳密に政教分離を行ってきたという点です。その歴史があるからこそ、この法律を成立させられたという背景もある。ところが日本の場合、政教分離とは名ばかりで、表向き関係ないとはいいながら深い関係が続いてきました。ただ“教え”ではなく“反社会的”かどうかで判断する方法はあるはず。岸田総理も『国民の関心ごとは丁寧に説明していきたい』と言っていますから、今回の事件をきっかけにぜひ議論を深めていただきたいものです」(同)

 問題が山積する政治と宗教だが、いまこそ真剣に議論すべき時なのかもしれない。

(灯倫太郎)

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