中国が打ち上げたロケットが無制御状態で地球に落下し、ロケットの破片であるデブリ(宇宙ごみ)が人のいる場所に落ちる可能性もあったことから怒りの声が噴出している。
7月24日、中国は宇宙ステーションへ新しいモジュールを届けるため、大型ロケット「長征5号B」を発射。ロケットは翌25日には宇宙ステーションにドッキングし、モジュールを届けることに成功したが、ミッション終了後に無制御状態のまま地球に落下し始めたのである。
通常ならロケットは制御された状態で被害が出ないよう海洋などに落下させるが、長征5号Bにはこの制御装置がなかった。しかも、長征5号Bは重さが約20トンあるため、大気圏の突入でも燃え尽きずに落下するのだ。
ネット上では《やったらやりっぱなしって中国はさすがに無責任すぎる》《もし、デブリのせいで死者が出ても中国は知らぬ存ぜぬを突き通すだけだろう。本当に恐ろしい》などと、中国に対する怒りの声が続出した。
「中国は20年3月に自国の農村にロケットの一部を落下させ、同年5月にも西アフリカのコートジボワールにデブリを落下させて建物を破損させました。米航空宇宙局(NASA)は『長征5号Bのように人命や財産が失われる危険性の高いロケットの場合、事前に情報を共有するべきだ。中国は責任ある行動を満たしていない』と強く批判しています」(ITジャーナリスト)
人間を直撃する可能性もあった今回の落下。7月31日時点で幸いにもまだ被害は確認されていないが、過去に起こした「落下の前科」もあり、NASAが批判するまでもなく中国には猛省を促したい。
(小林洋三)