安倍一族「プリンス後継」のウルトラC(2)ゴッドマザーは「安倍家から」

 安倍元総理の急逝により、火急の先決事項となっているのが後継問題だ。

「早くも来年4月には行われるはずの山口4区の補選の候補選定が始まっています。特に直系の子供がいない安倍元総理だけに、後任選びは簡単なことではない。すでに地元の一部では、昭恵夫人(60)の出馬に期待が高まっています。かつて急死した中川昭一氏に代わって出馬した妻・郁子氏(63)のように中継ぎで出る可能性は十分にあるでしょう」(政治部デスク)

 かつて「来世でも結婚したい」とまで発言し、相思相愛を貫く昭恵夫人ならば盤石な目玉候補と言えるだろう。だが、そうすんなりとはいかない事情がある。

「確かに、昭恵夫人が弔い合戦に立つなら選挙は必勝間違いなしでしょう。とはいえ、自らを〝家庭内野党〟と呼び、反原発など安倍総理の推進する政策とは袂を分かつところが多かった。また、森友問題では昭恵夫人のワキの甘さから安倍総理の政治生命の危機を招いたといまだに根に持っている支援者も多く、現実的ではないでしょう」(社会部記者)

 となれば、偉大なる元総理の後任候補はますます混迷を極めることになるが、

「全てのカギを握るのは岸信介の長女で、安倍晋太郎氏の妻でもあり、次男・晋三を総理に育て上げ、政界のゴッドマザーと呼ばれる洋子さん(94)の存在です。一族の家督に目配りを効かせ、生まれたばかりの三男を兄夫婦の養子に出し、現在の岸信夫防衛相(63)を岸家の世継ぎとしたのも洋子さんだった」(ジャーナリスト)

 子宝に恵まれない兄夫婦に実子を託すことで、岸家は存続したのだ。

「晋太郎氏の存命中から、洋子さんは長男・寛信氏(70)を跡目にすることを望んでいた。しかし、寛信氏は父の選挙運動を手伝う最中に体を壊したことがあり、政治家を継ぐことを選びませんでした」(政治部デスク)

 その後、次男が晋太郎氏の秘書となり、93年の初当選から10年という異例のスピードで自民党幹事長に就任。そして、06年に第90代総理大臣の座に就くことになるのだ。

「しかし、その後も実権を握っていたのは洋子さんだった。現在も渋谷区の安倍元総理の私邸では3階に暮らしているが、2階で暮らす安部総理は度々3階を訪ね、母から指南を受けていたといいます。夫・晋太郎の命日に開催する『偲ぶ会』を仕切るなど、家に不在がちな昭恵夫人よりもよっぽど安倍家を牛耳ってきた」(ジャーナリスト)

 一昨年8月、体調不良により「志半ばで断腸の思い」と2度目の総理辞職を発表した安倍元総理。祖父・岸信介氏にしてみれば、戦後レジームからの脱却を孫に託したかったに違いない。

「その代わりを務めるのは洋子さんです。後任候補は『安倍家から出す』とする洋子さんは、当初後任として寛信氏の長男・寛人氏(32)を迎えたいと考えていた。慶應大卒で弁護士を目指したが、17年に三菱商事に入社。一時、洋子さんは寛人氏の写真を持ち、『晋三の次はよろしく』と、地元山口の後援者に伝えていた。が、寛人氏は父にならい政治家転身には否定的だったんです」(社会部記者)

 次にゴッドマザーが目を付けたのが、三男・信夫氏の長男・信千世氏(31)である。

「慶應大卒業後、14年にフジテレビに入社。報道局社会部、宮内庁番記者などを経て、20年に退社している。現在は父・信夫氏の秘書として政治家修業中。真っ直ぐで人当たりがよく、しかも身長180センチを超えるイケメンです。それでも激戦区の山口で勝ち抜くためには、今や岸家よりも大きくなった安倍家の看板が必要となる。昭恵夫人に養子入りし、安倍2世として出馬することを検討しているのです」(ジャーナリスト)

 まさに鬼籍入りした安倍元総理も驚くウルトラC案と言えるだろう。

「もともと洋子さんの父・信介氏は地元で造り酒屋を営んだ佐藤家の出身だが、婿入りしていた父方の岸家を継いだ。実弟の佐藤栄作は佐藤家に残った。一族は養子縁組を重ねて一族の血脈を繋いできたわけです。いずれにしても、自分の目の黒いうちに後継者を決めることになるでしょう」(政治部デスク)

 60年余にわたり、父・夫・息子・孫の選挙を支え続ける洋子さんの裁量次第となりそうだ。

*安倍一族「プリンス後継」のウルトラC(3)につづく

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