去年の夏、スッタモンダあった末に東京五輪が終わったばかりだと思っていたら、今度は札幌の2030年冬季五輪の招致がヤマ場に差し掛かり、またぞろ賛否を巡って今後大モメにモメそうだ。
来年春に任期満了で行われる札幌市長選挙に、札幌市の元大物幹部が出馬の意向を表明。大きな理由の1つが、五輪招致の反対だという。
「出馬の意向を表明しているのは、札幌市の南区長や市民文化局の局長まで務めた高野馨氏です。高野氏は招致に反対の立場で、『市民政党 札幌冬季五輪に反対する会』の代表でもあります。札幌市では今月に招致の賛否を問う住民投票の条例が否決されたばかり。そこで間接民主主義の議会ではダメだとして、市長選挙を住民投票の場にするということです」(全国紙記者)
6月21日には東京オリ・パラの組織委員会が最後の総会を開き、今月いっぱいで解散する。金のかからない五輪をと言いながら、約1兆4238億円かかったとされる金額の4割超は組織委員会が負担したものだが、情報公開の対象外で、何に使われたのかは永遠に不明なままだ。
一方で、「ぼったくり男爵」という言葉が生まれたぐらいで、相当ボラれた記憶は強く残る。もともと近年は五輪開催の意味に疑問符がつきまとう中、先進国落ちしつつある日本にそんな余裕があるならば、その金は他に使うべきと、反対論がわき上がるのは自然な流れではある。
招致に名乗りを上げているのは、札幌のほかにソルトレークシティー(アメリカ)、バンクーバー(カナダ)、ピレネー・バルセロナ(スペイン)の3都市。微妙なのはこれら候補が絞り込まれて、最終決定がなされる時期だ。国際オリンピック委員会(IOC)は来年5〜6月の総会での決定を想定し、実質的には今年12月にも一本化する見込みだ。
ところが、札幌市長選は来年5月に行われる予定。そこで高野氏が当選した場合、もし札幌が内定していたとしても、本決まりの寸前で辞退・返上するとしている。
高野氏の正式な出馬表明は今年7月に入ってからだが、招致合戦ではここが1つのターニング・ポイントになる可能性がある。IOCとしては当然、現地で歓迎されていないオリ・パラなど開催したくないのは当然だからだ。
「5月には山下泰裕JOC会長や現職の秋元克広札幌市長らが出席する全国組織の初会合が行われましたが、6月10日の2回目の会合では早くも危機感を示す声が上がりました。3月に札幌市が行った調査では賛成が52%で過半数を占めていましたが、4月に北海道新聞が行った時は、反対が57%と大きく上回ったからです。猛追しているとされるソルトレークは87%賛成ですからね。関係者が焦らないはずがありません」(週刊誌記者)
現職の秋元氏は今のところ出馬については沈黙したまま。だがいずれにせよ推進したい体制派と、反対派市民の間で札幌市が2分するのは確実なようだ。
(猫間滋)