東西冷戦下のソ連時代よりも関係が悪化した日本とロシア。他の欧米諸国同様、現在は「非友好国」認定されている。4月からロシアはEU加盟国をはじめ、スイスやアイスランド、ノルウェーといった非加盟国に対してもビザの発給を停止しているが、日本は今のところ対象外だ。
「日本はロシア人へのビザ発給を停止していますが、そもそも新型コロナの影響で観光目的の入国は国籍に関係なく不可能な状態でした。それ以外の目的での入国もビザ取得には細かい条件を設けており、ロシアだけに厳しかったわけではありません。そういう事情を鑑みて対抗措置を講じなかったと考えることもできます」(全国紙記者)
実際、5月末時点では、在日ロシア大使館やビザセンターのホームページには、日本人の個人ビザ発給が停止された等の注意書きなどはない。つまり、今も観光ビザを取得すればロシア旅行が可能だ。
日本や欧米からのフライトはほぼストップしているが、中東諸国やトルコ、中国、インドなどからは直行便が飛んでいる。乗り継ぎ便になるので少々時間はかかるが、入国のハードル自体が上がったわけではない。現にウクライナ侵攻後に観光ビザで訪れたという日本人はいる。
「戦争の前から旅行を計画しており、一時は中止も考えましたがビザ取得も入国も可能だと分かったので行ってみることにしたんです」
そう話すのは、この春ロシアを訪れた30代男性。ドバイに数日滞在した後、モスクワに向かったそうだが空港の搭乗手続きではPCR検査の陰性証明書の提示を求められただけだったという。
「それでも入国できないんじゃないかって不安はずっとありました。でも、入国審査ではこちらが出した各書類をしばらく眺めていたものの、質問自体は滞在日数を聞かれただけ。思いのほかあっさりしていたので拍子抜けしてしまいました」
だが、前出・記者はいくら入国が可能でも高いリスクを伴うと警鐘を鳴らす。
「ロシア国内では連邦保安局が常に目を光らせています。中国では過去に多くの日本人が国家安全当局にスパイ容疑で逮捕・勾留されてますが、観光客が逮捕される可能性は低いとはいえ、これと同じことが起きないとは限りません。外務省も渡航中止勧告を出しており、そのことを重く見るべきです」
ロシア入国の様子を動画でアップしているユーチューバーもいたが、情勢が落ち着くまではやめておいたほうがよさそうだ。
(トシタカマサ)