アントニオ猪木が墓所を構えたのは、1000年以上の歴史を持つ秘湯だった

 タンパク質が変異した物質が心臓に付着する指定難病「心アミロイドーシス」を発症し、闘病生活を続けるアントニオ猪木(79)。5月22日、久々に東京を離れた“燃える闘魂”が向かった先は青森県十和田市にある蔦温泉。その目的は、自身の墓所の建立式と19年に亡くなった最愛の妻・田鶴子さんの納骨だ。

 ちなみにここは、猪木がたびたび夫婦で訪れていたお気に入りの場所。平安時代末期の1174年には湯治場があったと文献に記されるほど歴史は古く、温泉好きの間では秘湯の一軒宿として知られている。

 筆者も以前泊まったことがあるが、場所は八甲田山の麓に広がるブナ原生林の中。一帯には蔦七沼と総称される大小7つの沼があり、早朝や夕方には幻想的な風景を見せてくれる。遊歩道が整備されているので気軽に森林浴が楽しめ、猪木も元気なころは散歩を日課にしていたという。
 
 そんな蔦温泉の旅館の玄関がある木造2階建ての本館は1918年に建てられたもの。外観・内観のレトロな雰囲気は、映画「千と千尋の神隠し」に登場する湯屋のようだ。
 
 温泉はなんと源泉が浴槽内の足元から湧き出ており、肌に優しい透き通った滑らかなお湯が特徴。神経痛やリウマチ、機能障害に効能があるとされている。
 
 なお、今回建立された猪木の墓があるのは、国道103号線を挟んだ旅館の反対側。道路から少し森に入ったところにあり、墓石は拳を振り上げた「1・2・3、ダーッ!!」のポーズをモチーフにした特徴的なデザインだ。しかも、リングネームの「アントニオ猪木家」の墓であり、そして彼の代表作でもある詩のタイトル「道」の文字が大きく刻まれている。

「近くには同じく蔦温泉を愛した明治・大正期の詩人の大町桂月、歌人としての顔も持っていた元青森県知事・武田千代三郎のお墓もあります」(地元記者)

 八甲田山や十和田湖はパワースポットとしても有名で、隣の新郷村には真偽のほどは不明だが“キリストの墓”と伝えられている場所もある。ここには時代を問わず偉人たちを引きつける何かがあるのかもしれない。

(トシタカマサ)

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