これまで“開催地未定”で中立国での試合も検討されていた3月26日のサッカーW杯アジア2次予選の北朝鮮とのアウェー戦。だが、アジアサッカー連盟(AFC)は1月30日、平壌の「金日成競技場」で開催することを正式発表した。
男子のフル代表が北朝鮮で試合をするのは、11年11月15日のブラジルW杯アジア3次予選(※0-1で敗北)以来12年5カ月ぶり。コロナ禍以降、観光目的での日本人の北朝鮮への入国は認められておらず、開催までの日程的な余裕もないため、サポーターの観戦ツアーは実施されない可能性が高い。
さらにメディア関係者の入国許可についても不透明で、代表に同行するサッカー記者やカメラマンの間からは「いっそのこと認めてくれないほうが助かる」と意外な声も聞かれる。
「26年W杯をカナダ、メキシコと共同開催するアメリカの入国には電子渡航承認システム『ESTA』の事前手続きが必要ですが、北朝鮮入国歴があるとこれを受けられないんです。大使館でビザ発給の手続きが必要となり、それだけでもかなり面倒です。しかも、それでも入国が認められないケースもあります」(北朝鮮事情に詳しいジャーナリスト)
サッカーを扱うメディア関係者でW杯本大会期間中に米国に入国できなければ仕事にならないだろう。テレビ局やスポーツ紙なら代わりの人間を派遣すればいいが、フリーランスや業務委託で請け負っている人間にとってはリスクがあまりに大きすぎる。
「生前、何度も北朝鮮に入国していたアントニオ猪木氏が米国のビザ発給を断られたとは聞いたことはないですが、今後どうなるかは分かりません。トランプ氏が大統領に返り咲いた場合、方針転換で北朝鮮入国歴がある人のビザ取得が難しくなるという可能性もゼロではないからです」(同)
ちなみに過去に平壌で行われた北朝鮮との対戦成績は0勝2敗2分け。100%相手サポーターというスタジアムの環境は、中東での試合以上に厳しいものとなるはずだ。記者だけでなくサッカー協会関係者や選手たちも第三国での開催を望んでいたに違いない。