大晦日「RIZIN」地上波放送なしで「格闘技ブーム」はどこへ?

 31日、さいたまスーパーアリーナで開催される格闘技イベント「RIZIN.40」。今回は堀口恭二が所属する米国の総合格闘技団体「ベラトール」との対抗戦が組まれ、世界的にも注目されているが、昨年まで放送されていたフジテレビでの中継はなし。公式ライブ配信サイトをはじめ、「U-NEXT」や「スカパー!」「ABEMA TV」など各種視聴サービスでのPPV購入者に限定されている。

 その背景にあるのは、6月に東京ドームで行われた那須川天心—武尊の「THE MATCH 2022」で、観戦チケットとPPV合わせて約50億円の売り上げを記録したことが大きい。これを機に海外の格闘技中継のようにPPVに舵を切ったと言われているが、これによりテレビ地上波での大晦日の格闘技中継は再び消滅する事態に。そのため、格闘技関係者の間では格闘技ブームの終了を懸念する声も聞かれる。

「00年代にはフジテレビで放送された『PRIDE』が大晦日の新たな風物詩となり、03年にはTBSがK-1選手参戦の『Dynamite!!』、日テレが『INOKI BOM-BA-YE』と民放3局で格闘技を放送。当時の格闘技ブームをさらに盛り上げる結果となりました。PPVは格闘技ファンには好都合ですが、興味はあるけどお金を払ってまでは見ないというライト層を取り込むことはできませんからね」(格闘技専門誌編集者)

 28日には11月に亡くなったアントニオ猪木さんの追悼興行として「INOKI BOM-BA-YE × 巌流島 in 両国」が7年ぶりに行われたが、こちらも地上波の中継はなし。大晦日は井岡一翔—J.フランコのボクシング世界戦がTBSで放送されるとはいえ、総合格闘技やキックボクシングとはファン層が異なる。

「高いファイトマネーを払うためにはPPVは貴重な収入源ですが、これだと視聴者はコアな格闘技ファンに絞られてしまいます。日本では海外のようにPPV文化が根付いてないため、子供たちが気軽に視聴できる機会を失い、競技人口の拡大が難しくなるかもしれません」(前出・編集者)

 これが格闘技のメジャー化、マイナー化の分岐点とならなければいいが…。

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