大阪府内の派出所にて警察官が襲われた拳銃強奪事件で6月17日、事件発生から約25時間後に犯人が大阪府警により身柄を確保された。逮捕された犯人は東京在住の33歳で、犯行現場となった吹田市で育ったという。
犯人逮捕に役立ったのは数々の防犯カメラ映像で、公開された犯人の姿を見た父親から、息子ではないかとの申し出があったという。その父親が、準キー局・関西テレビの常務取締役であることも大きな話題となっているが、その父親を巡ってテレビ各局が軒並み“忖度”し、世間から批判が殺到しているというのだ。テレビ誌のライターが首をひねる。
「犯人逮捕を受け、各テレビ局ではこの事件を情報番組や報道番組で大きく取り上げました。そこでは父親が書面で発表した『心よりお詫び申し上げます』とのコメントも報じられていますが、ほぼすべての局でなぜか父親の職業や勤務先を伏せているのです。しかし新聞などの印刷メディアでは関西テレビの社名や父親の実名も報じられており、テレビ業界の“村意識”が浮き彫りになった形。これぞまさに忖度そのものであり、報道機関としては自死にも等しいでしょう」
よもや同じテレビ局の仲間を庇ったとでもいうのだろうか。ところが皮肉にも、当の関西テレビでは犯人逮捕を受けて、その父親が自局の役員であることを明かしていた。6月17日の夕方に放送された報道番組「報道ランナー」では、父親のコメント全文を読み上げたうえで、アナウンサーが「我々の関西テレビの仲間の家族が起こしたとみられる事件でございます」と明言していたのである。
「関西テレビが犯人の逮捕当日にこう報道していたのに、他局の報道番組では父親のことを“犯人の父親”と呼び、テレビ局勤務であることさえ明かしませんでした。いったい誰が『関西テレビには触れないでおこう』と判断したのか、各局では視聴者に対して明らかにする責任があるのではないでしょうか」(前出・テレビ誌ライター)
一部の新聞社系ネットメディアでは、系列会社にテレビ局を抱えるからなのか「在阪メディア」という奥歯に物が挟まった表現を用いていたところもあった。こういった無意味な自主規制が、世間の不信感を惹起していることにそろそろ気づくべきだろう。