Apple復活の立役者「iPod」が販売終了、ウォークマンのような生きる道はなかったのか?

 米Appleが5月10日、音楽プレイヤー「iPod touch」を在庫がなくなり次第、販売を終了させると発表。これにより、音楽の歴史を変えたとされる名機は約20年の歴史に幕を下ろすこととなった。いまだソニーの「ウォークマン」が現役で活躍する中、iPodには生き残る道はなかったのだろうか。

「スティーブ・ジョブズ氏の『1000曲をポケットに』という伝説のプレゼンでも話題となった初代iPodは、2001年10月23日に発売されると世界的な大ヒット商品となりました。また当時、倒産寸前だったというAppleを救い復活の立役者となったことから、同社の歴史の中で非常に重要な製品のひとつとされています。誰もが気軽に音楽を楽しめる土壌を作ったという意味でも、音楽文化を大きく変えた革命的な商品だったといえるでしょう」(ガジェット系ライター)

 iPodは初代の大ヒットに続き、04年にはmini、06年にはnano、07年にはtouchが発売されるとそれぞれ大きな売上を記録したが、08年に音楽プレイヤー機能を持つスマートフォンの初代iPhoneが登場。次第に影はうすくなっていき、19年に4年ぶりの新型となるiPod touchの第7世代が発売されたのものの、メジャーアップデートは約10年されない状況で、今回のiPod終焉の報道もあまり驚かれなかったようだ。

「最近ではスマホで音楽を聞くのが当たり前になったため、最新のウォークマンが40万円で発売されたことも話題となりましたが、音楽プレイヤーはハイエンドに活路を見出しています。当然、iPodもハイエンド端末として残すこともできたでしょうが、iPhone、iPad、Mac、AppleWatch、AirPodsなどなど出す商品がすべて世界的なヒット商品となる今のAppleが、わざわざニッチな層を狙った商品を展開することは考えづらいですからね」(前出・ガジェット系ライター)

 Appleにとって非常に重要な製品をあっさり販売終了してしまうのも、ある意味でAppleらしいのかもしれない。

(小林洋三)

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