大河ドラマ60年を彩った女たち【4】宮﨑香蓮が明かした「花燃ゆ」収録秘話

「花燃ゆ」では、吉田松陰の妹・杉文(井上真央)の視点から幕末の動乱が描かれた。主人公の幼なじみで、伊藤博文(劇団ひとり)の最初の妻となる入江(伊藤)すみを演じた宮﨑香蓮(28)が収録秘話を明かした。

─なんと、おじい様は古代史研究家で60年代の邪馬台国論争ブームの火付け役と知られる宮﨑康平氏(故人)とのことですが。

宮﨑 私自身はそれほど歴史が好き、というわけではないのですが、祖母からは戦争中の話などは聞いたりしました。

─06年の「国民的美少女コンテスト」をきっかけにデビュー。08年には運命的な映画に出演されました。

宮﨑 祖父の著書「まぼろしの邪馬台国」が映画化されて、邪馬台国の位置を探し求める祖父を竹中直人さん、それを支える祖母を吉永小百合さんが演じてくださったんです。私は、少女時代の祖母の役で出演させていただきました。

─映画の現場では、吉永さんから貴重なアドバイスを受けたそうですが?

宮﨑 はい。「勉強はしておいて損はないですよ」とおっしゃっていただいて‥‥。お芝居であれだけのキャリアを築かれた方から学ぶことの大切さを教わって、私も女優を続けながら大学に進学したいって思うようになりました。吉永さん、そして祖父が卒業した早稲田大学に入学できた時はうれしかったですね。

─そして大学在学中に「花燃ゆ」に出演しました。

宮﨑 出演が決まった時はそれほど実感が湧かなかったのですが、制作発表会見がとにかく華やかで、「歴史のある作品なんだ」って思うとプレッシャーも大きくなって‥‥。1週間のうちリハーサルは何日、次の日が収録という具合に、スケジュールがきっちり決まっているのも新鮮でした。伊藤博文の最初の妻という役だったんですけど、劇団ひとりさんとはワンシーンくらいしかなかったので、また共演したいですね。

─今でも後悔している〝大失敗〟があるとか。

宮﨑 時代劇の現場では頭にカツラをつけていることもあって、待ち時間は脱ぎ着しやすい浴衣で過ごすんですよ。その時は祖母から譲り受けた浴衣を着ていました。今でも大事に取ってあります。母からも浴衣をもらったのですが、大河の撮影中になくしてしまって大ショック。今もNHKのスタジオのどこかに眠っているのかなぁ‥‥。それだけが心残りですね。

─大切な品をなくしたとはいえ、大河ドラマの経験は大きな糧に?

宮﨑 大きな不安との戦いでしたね。乗り越えたことで大きな自信になりました。それからも時代劇に出演する機会をいただいて、着物での立ち居振る舞い、時代劇ならではの微妙なイントネーションを学ばせていただきました。

─21年には「大岡越前」(NHK BSプレミアム)で花魁役に挑戦しました。

宮﨑 花魁道中のシーンは鮮明に覚えていますね。頭にかなりの重さの髪飾りをつけていたので本番前にスタッフの方が一生懸命支えてくださって。メイクで白塗りのドーランを塗るんですけど、保湿成分のあるクリームは前日から使用を控えるんです。ドーランのノリをよくするために、あえてお肌をカピカピにしておくのも勉強になりました。「ありんす」という花魁言葉も難しかったですけど、何事も経験ですよね。

─最近では「東京新聞ほっとweb」での取材・執筆活動、旅番組のレポーターなど、幅広い活動が注目されています。

宮﨑 人の話を聞くのが大好きなので、ひとつひとつの出会いとコミュニケーションを大切にしていきたい。「ニッポンぶらり鉄道旅」(NHK BSプレミアム)では、地元にある島原鉄道線(長崎県)を紹介できたらうれしいですね。そうそう、「花燃ゆ」の時、私は萩(山口県)での撮影がなかったので、吉田松陰ゆかりの土地を回ってみたいですね。

*「週刊アサヒ芸能」5月5・12号より

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