テリー ここからは伸晃さんのお話を伺いたいんですけど。去年の選挙で落ちちゃったじゃないですか。なんで? 僕、ビックリしたんだけど。
石原 それは私の不徳の致すところというか。やっぱり世の中が見えてなかったですね。ただ本人としたら、持ってる全ての能力は出し切ったと。選挙という限られた期間でいうとね。
テリー 僕は、ちょっとパフォーマンスが弱かったのかなって。だって、YouTubeを見れば、石原さんの話ってすごく歯切れがよくて、的確でおもしろいじゃないですか。それがあんまり世間に伝わってなかったですよね。
石原 ありがとうございます。そこが僕に見えてなかった部分かなと思うんですけど。やっぱりSNSの世界ってポジティブよりネガティブのほうが強いじゃないですか。ネガティブを組織的にやられたら、気分が悪いから見ないんですよね。
テリー まぁ、ネガティブなことがいっぱい書いてあったら、敬遠する人は多いでしょうね。
石原 そういうのは話では聞いてたんですけど、まさか自分がターゲティングされるとは思わなかった。それはやっぱりある意味おごりだったかもしれないし。
テリー うーん。
石原 それから何より派閥の会長というのが、私のキャラクターに一番合ってなかったですね。10年近くやりましたけど、何にも言えないですもん。
テリー そうか。
石原 これはけっこう私の行動を自制させたと思います。バカなことも言わないし、思ったことも言わない。言うとハレーションを起こすから。それはたぶんきっと、何でも言っちゃうのが私の持ち味だから(笑)。
テリー そうだよね。だから、バッジを外してからの話がおもしろいんですよ。
石原 アハハハハハ。ありがとうございます。
テリー だから、「このぶっちゃけトークでいってれば当選したんじゃないか」って思うんですよね。今、橋下(徹)さんは議員じゃないけど、ネットの記者が一番書きやすいサジ加減でしゃべってるじゃないですか。もちろん、長年自民党で役職に就いてると、そういう戦略はとらないのかもしれないけど。でも、もう1段2段、ロケットを飛ばしてもよかったかなと。
石原 憲法の話にしても、今は思ったことを言えますけど、党の役職に就いたりしてると言えないわけですよ。日米安保についての取材を受けた時に、ここに来てやっと「ほんとにアメリカ軍は日本を守ってくれるんですか」みたいなことを聞かれるようになったから、「それはわからないでしょう」って答えたんですけど。これまでだったら「わからない」とは言えないじゃないですか。「守ります」「そういう条約です、安心してください」としか。
テリー そうだよね。
石原 でも、今度のウクライナを見てもわかるように、戦争っていうのは、ロシア軍の兵站のところを攻撃するわけですよね。だから、いくら自衛隊が「私たちは後方支援ですから」って言っても、米軍のミサイルを運んだりしてたら、中国はそこを攻撃するんですよ。
テリー 当たり前だよね。
石原 でも、そういうことって言えないんですよ。自民党の元幹事長が「自衛隊が米軍の海兵隊を助けたら、中国は攻撃してくる」なんて言ったら、どえらいことになっちゃう。でも、やっぱり本当のこと、思ってることは、聞かれたら言わなきゃいけないなと思いますね。
テリー それは、やっぱり議員じゃなくなったから言えることですよね。
石原 そう思います。
テリー ほんとはバッジを付けてる時に言ってほしいですけどね。
石原 そうですね。
*テリー伊藤対談【4】につづく