プーチン・ロシアの「北海道侵攻」を許すな!【1】日本の防衛ラインは津軽海峡

 プーチン大統領が照準を定めるのは欧州だけと思ったら大間違いだ。ウクライナで残虐非道な攻撃を加えた軍隊が日本を侵略するのも決して絵空事ではない。ロシア軍の特殊部隊と太平洋艦隊を迎え撃つ最前線は北海道。我が国の精鋭22万人の自衛隊はいかに反撃するのか。緊急シミュレーションする。

 5月9日の対独戦勝記念日を前に、ロシア軍はウクライナ東部への攻撃を強めている。その一方、日本の北方でもロシアの脅威が日増しに高まっている。

 ウクライナ侵攻から6日後の3月2日、根室沖でロシア機と見られるヘリが日本の領空を侵犯、3月15日にはロシア海軍の戦車揚陸艦が津軽海峡を通過、4月1日には択捉・国後島で1000人規模の兵士が対戦車ミサイル運用など相次いで軍事演習を行ったのだ。

 国際部デスクが解説する。

「4月14日には日本海で潜水艦が巡航ミサイルの発射を行っている。明らかに、プーチン政権に異を唱える日本を〝非友好国〟とみなし、極東ロシア軍の動きが活発化しています。また、3月21日にはロシア外相が日本との平和条約交渉の中断を一方的に発表したほか、ロシア下院副議長が『どの国も願望があれば隣国に領土要求することができる。北海道の全権はロシアのものだ』とまで発言。まさにプーチンのウクライナ侵攻を正当化し、次は日本だと恫喝していることにほかなりません」

 にわかに北の脅威が高まる中、連日メディアでロシア問題を解説する筑波学院大学の中村逸郎教授が「来年早々にもアイヌ民族救出の名目で北海道へ侵攻する可能性がある」と指摘するや、SNS上では「遠くの戦争ではない」「次は北海道が危ない」など、危機感を募らせているのだ。

 元航空自衛官で軍事評論家の潮匡人氏がこのロシア軍の動きについて説明する。

「今すぐにロシア軍が日本に攻めてくることはないでしょう。というのも、現在、極東ロシア軍の兵力はウクライナ戦線に展開しているためガラ空きの状態なのです。この空白に乗じて領土を取り戻そうと考えている日本人は少ないはずですが、ロシア側の考えは違います。日本がこの軍事的空白を利用してくるかもしれないと、北方領土や日本海で軍事演習を重ねているわけです。逆に言えば、ウクライナ戦争が終結し、極東に兵力が戻り、または増強されれば北海道侵攻は起こりうる事態でもあるのです」

 冷戦時代にソ連を仮想敵国とした日本の自衛隊は、北海道だけに大小約40カ所の駐屯地を展開している。

 軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏が北海道戦の概要を解説する。

「冷戦時代の自衛隊の作戦では、北海道に上陸してきたソ連軍を迎え撃つことが大前提でした。というのも、当時のソ連の軍事力は強力でしたので、上陸は妨げられないという前提だったのです。津軽海峡に防衛ラインを張り、本州への侵攻を食い止めるというものでした」

 ウクライナ侵略では、東部のドンバス地方、北部ベラルーシ、南部クリミアの3方向から進軍したロシア軍だが、北海道侵攻では道東・釧路、道北・稚内方面からの着上陸作戦が想定される。このフェーズでの自衛隊の作戦について、軍事ジャーナリストの井上和彦氏が解説する。

「まず、自衛隊は空から航空優勢をかけてきます。三沢基地に配備された対地攻撃能力を持つファントムⅡが発進、さらに陸上自衛隊は長距離射程の大砲MLRS多連装ロケットミサイルで上陸してきた部隊を海岸で叩く。それでも逃れて市街地などへ進撃する部隊があれば、陸自唯一の機甲師団第7師団の戦車部隊が潰しに行くことになる」

 たとえ、一部市街地が焼け野原となり、札幌が一時占拠されたとしても、十分に跳ね返す力があるという。このシミュレーションはソ連時代からロシア軍になっても何ら変わることはないという。

「三沢基地に本拠地作戦本部を置き、北海道を戦場にしてソ連と戦うわけですが、何より、三沢には米軍の基地があります。日米が協力し、北海道に逆上陸してソ連を追い出すことが可能なのです」(黒井氏)

 北海道をむざむざと実効支配されるという可能性は今のところ低いと言えそうだ。

*「週刊アサヒ芸能」5月5・12日合併号より。【2】につづく

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