もちろん、楽しい思い出もいっぱいありますよ。
中継では、その地方局の女子アナと何度も共演しました。ある女子アナは緊張のあまり箸がブルブル震えて料理が食べられなくなっちゃって、しょうがないから僕が食べさせてあげたことも。そんなフレッシュな女子アナでも何度か中継を重ねると慣れてきて「すいません。震えなくなっちゃいました」って。いや、むしろ震えないほうがいいんですよ。
ありがたいことに、僕との共演は女子アナにとって御利益があるとか言われたりして。北陸朝日放送の金子美奈アナは、今や編成部長にまで出世されました。3月の最終回では、一緒に泥まみれになってレンコン掘りを手伝ってくれて本当にうれしかったです。
番組でなければ行けないような秘境にも行くことができました。思い出深いのは富山の名剣温泉。宇奈月温泉からトロッコ電車に乗って山中に入るんですが、冬場は完全にクローズする豪雪地帯で、GW明けに除雪車が入って営業開始するという、まさに秘湯でした。
屋久島の海中温泉もすばらしかったですね。磯辺にある岩風呂なんですけど、干潮で海の水が入ってこないと熱すぎて熱湯風呂になっちゃう。えっ、熱湯風呂は慣れてるはずだって? ホント、勘弁してください。
おかげで、全国47都道府県の温泉を制覇することもできました。もう一度行きたい温泉といえば、北海道・然別湖の湖上温泉です。ここは湖の氷が凍結した時期限定で、湖上に温泉風呂を作っている。源泉のある湖畔の温泉宿から氷の上を歩いて行く露天温泉は格別でしたね。
自分でも25年も続くとは思っていませんでしたが、師匠のたけしさんがいつも番組を見てくれていて「ラッシャー、また昨日もうまそうに食ってたな。お前、イヤしいから何でもうまそうに食うけど、本当はまずいのもあんだろ」なんて言われて、うれしかったですね。
これだけ長続きできた理由はわかりませんけど「甘い」「辛い」「苦い」など五味を中心に食レポするのがよかったのかも。あまり気の利いたこと言う才能もないし、オシャレなこと言えば次のハードルが上がる気がして。でも「宝石箱や〜」は何度か使わせてもらいましたけどね。
今はこの25年の経験を生かしてお取り寄せに凝っています。サバと言えば、大分の関サバが有名ですけど、僕のオススメは青森・八戸の沖サバです。本当は現地に行って食べてくださいと言いたいのですが、今はお取り寄せでもいいと思いますよ。
*「週刊アサヒ芸伊能」4月21日号より