ここ最近、ネットニュースなどで「高級食パンブームの終焉」が訪れたとする記事を多く見るようになった。その理由として、世界的な需要やロシアのウクライナ侵攻によって小麦価格が高騰していることが多く挙げられているが、高級食パン離れが進行する理由は他にもまだまだあるという。
2013年に「乃が美」や「セントル・ザベーカリー」などのいわゆる高級食パン専門店が誕生し、さらに同年にはコンビニ大手「セブン-イレブン」も「セブンプレミアム ゴールド 金の食パン」を発売したことで全国的なブームが到来。高級食パンは1斤400円~1000円以上するものもあり、通常の食パンよりも柔らかく、甘みが強いのも特徴で、プチ贅沢を楽しむのにちょうどいいことから人気となっている。
「ただ、高級食パンはストレート法という短時間発酵で作られていて、比較的調理が簡単なことから新規参入が多く、これが高級食パン離れにも繋がっていると考えられています。新規参入が多いというのは『白いたい焼き』や『タピオカミルクティー』もそうでしたが、どんどん質の低い店も増えてきますし、中には全国に100店舗以上出店するブランドもあって高級食パン専門店が競合してカニバリゼーションも発生し、さらには競合店を出し抜くために値下げをおこない自らのクビを締めているところもあるのです」(フードライター)
他にも、高級食パンには健康的な問題もあるという。
「高級食パンはしっとりと柔らかく、甘みもしっかりと感じられると思いますが、あれは大量のバターなどの油分と砂糖やハチミツなどの糖分が大量に使われていて、なんと一斤あたり1000kcalを超えるものも少なくないのです。当然、高級食パンは通常の食パンのように日常食として食べるのには向いていませんし、特に今はコロナ禍で健康意識が高まっていることもあって、たまのプチ贅沢でも高級食パンはヘビーすぎて避けているという方も増えてきているのではないでしょうか」(同)
また、高級食パンは消費期限が短いのも、なかなか手を出しにくくなった要因だという。
(小林洋三)