旧東西ドイツの悲劇再び? ウクライナ東西分裂の現実度

 激しいウクライナ側の抵抗に遭い、事前に想定していた以上の苦戦を強いられているロシア軍。プーチン大統領を非難する国際世論もあり、彼らの士気は低いと言われているが、埋めがたい戦力差が存在するのも事実だ。

 そうした中、ここに来て今回の戦争の落としどころについての報道も増えている。仮にロシア側が停戦に応じる場合、いくつかの条件が考えられるという。

「国土の南北を流れるドニエプル川を境界として東西に分割する案が指摘されています。ただし、首都キエフはこの川を挟む形で街があり、ロシアは自分たちの勢力下に置くことを目標にしています。そのため、キエフ全域を支配、もしくは川を国境線にして街を分断する可能性などが考えられます」(国際ジャーナリスト)

 国境線については他にもさまざまなケースが想定できるようだが、仮に国が分断されたら、冷戦時代の東西ドイツのように東側がロシアの息のかかった傀儡政権、西側が現政権の流れを汲む支配体制となるのは間違いない。

「もし首都が陥落した場合、次の首都はポーランドとの国境近くにあるリビウになると言われています。また、ドニエプル川を越えてロシア軍が黒海沿岸の都市オデッサを攻略する可能性も高く、ここが陥落すれば沿岸部はすべてロシアの支配地域となる。そうなれば国土の半分を奪われるだけでなく海を持たない内陸国になり下がり、戦争前の半分の国力も維持できなくなるでしょう」(同)

 ウクライナの国家分断はロシアにとって、西側諸国との間に緩衝地帯を設けることができ、安全保障上のメリットがあるとか。

「これほどの非難と経済制裁はプーチンにとって想定外だったかもしれませんが、もともと世界からの反発は覚悟していたはず。ウクライナ全土の支配が難しい以上、東西分裂は十分考えられるシナリオだと思います」(同)

 ウクライナの分断などあってはならないが、もはや何が起きてもおかしくない状況。今後の情勢に注目したい。

*写真はゼレンスキー氏のFacebookより

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