「マーガリンは毒なので食べません」SNS投稿で議論を巻き起こした“実際のところ”

 現役の小学校の先生で教育系の著書も出版する「めがね旦那」さんが自身のTwitterに投稿した「『今日の給食に出てくるマーガリンは毒なので食べません』と申し出た子どもがいた。嫌いな食べ物を無理矢理に食べさせる指導は元々していないので、その子は食べなかったのだが、周りの子はその言葉に動揺していた。僕は学校給食の高い安全性を信用している。そして食に関する指導の主戦場は家庭だ」とのツイートがネット上で議論となり、大きな注目を集めている。

「“マーガリンが毒”と言われるゆえんは、マーガリンにはトランス脂肪酸が含まれ、これを摂りすぎると心筋梗塞など冠動脈疾患のリスクが高まるのに加え、アルツハイマー病などの認知症の原因になると言われているからです。WHO(世界保健機関)によれば、世界中で年間50万人がトランス脂肪酸が原因の病気で亡くなっているとの警告も発せられています」(医療系ライター)

 そのため、WHOは1日あたりの摂取量を総カロリーの1%未満にするよう目標を定めており、米ニューヨーク州やカナダなどではトランス脂肪酸の食品への使用を禁止。ほか多くの国でも使用制限がされているが、日本では何の制限もされていないことを問題視する声もある。

「なぜ、日本ではトランス脂肪酸が規制されていないかといえば、日本人の摂取量が欧米人に比べて非常に少ないからなんです。トランス脂肪酸はマーガリンの他にショートニングやファストスプレッドに含まれ、それらを原料にしたパンやケーキ、洋菓子類にも多く含有していますが、食品安全委員会の2012年の調査によれば日本人の摂取量は総エネルギーの0.3%とごく少量。しかも、最近のマーガリンは加工技術が改良されて1食分とされるマーガリン10gあたりに含まれるトランス脂肪酸は0.1%以下となっているものがほとんどなので、一度に大量に摂取しなければ体の害になることはないと考えられているのです。要するに気にする必要はないという判断なわけです」(前出・医療系ライター)

「めがね旦那」さんの言うとおり、食に関する指導の主戦場は家庭であることは間違いないので、親は正しい情報を知ったうえで食育をしなければならないだろう。

(小林洋三)

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