加藤綾子アナと榎並大二郎アナがMCを務めるフジテレビ系の情報番組「Live News イット!」。その中でオンエアされる「タテヨミ」のコーナーは、「ニュースをタテに読み解くと、キーワードが見えてくる」という番組の紹介文どおり、複数のニュースを伝え、その頭文字をタテヨミすると、別のキーワードが見えてくるというもの。
3月14日に取り上げたテーマはロシアによるウクライナ侵攻。進行役の榎並アナが《ついに牙をむきだした「仁義なき」ロシア》と書かれたボードを使って解説していく。ひとつめに挙げたのは「無抵抗の市長を南部で拘束」。ウクライナ南部のメリトポリ市の市長と見られる人物がロシア軍に拘束されて庁舎から連行される映像とともに、元市議会議員の女性が市長代理に就任したことを伝えた。就任の際のあいさつはロシア語で行ったことから、榎並アナは「ロシア側の意向を反映した人物」と説明した。
「無抵抗の市長」の「ム」に続く2つ目のニュースが、「(サ)作戦のレベル上げる?西部を攻撃」。ロシア軍はこれまで攻撃してこなかったウクライナ西部のヤーヴォリウ地区や軍用飛行場を空爆したとの報道を紹介し、物資支援ルートや軍事面でダメージを負ったことを伝えた。
すると、榎並アナは残り2つのニュースを一気に読み上げる。「(ベ)ベラルーシ巻き込み総攻撃?」「(ツ)“作り話”ロシアの狙いは?」というもので、友好関係にあるロシアがベラルーシを攻撃した後で「攻撃はウクライナの仕業だ」という“作り話”をでっちあげてベラルーシに参戦の理由を与える「偽旗作戦」を紹介。
これら4つのニュースをタテヨミして導きだされたキーワードが「ム・サ・ベ・ツ」。
榎並アナは「タテヨミの時間です。首都キエフ陥落のために今まで以上に牙をむきだしのロシアなんですが、その状況で心配されること。こちらです。ム・サ・ベ・ツ。今日のキーワードはこちら」と、テロップをめくると「無差別攻撃 生物化学兵器の使用は?」の文字がボードに出現。国連・安全保障理事会におけるアメリカ国連大使の「ロシアが生物化学兵器を使用する可能性がある」とのコメントを紹介し、専門家は核兵器の使用の可能性について言及した。
「無差別に人の命を奪う行為、これは許されるものではありません」という榎並アナの言葉でコーナーは締めくくられたが、ネット上では《タテヨミでムサベツってバラエティーのノリやん》《何が楽しくて無差別攻撃をタテヨミさせるのか》《市長が無抵抗って、無理やり“ムサベツ”に持っていってないか?》《榎並アナもやりにくそう》といった批判の声が噴出した。
榎並アナが言う通り、「無差別攻撃」は許されるものではない。それゆえ、多くの罪のない人の死を連想させる「ムサベツ」をタテヨミにする必要があったのか。視聴者がフジテレビの報道の演出に疑念を抱くのも無理はないだろう。