「(不正蓄財による)ヨットや豪華マンション、プライベートジェットを探し出す!」
アメリカのバイデン大統領は3月1日(現地時間)に、当面の政治課題などについて語る一般教書演説で最近話題のオリガルヒに言及、彼らを徹底的に糾弾するとして、こう勇ましく宣言した。オリガルヒ、つまりロシアの新興寡占資本家は、利権で結びついたプーチン政権と車の両輪なのだから、彼らの資産を割り出し差し押さえれば自ずとプーチン政権もいつかは瓦解するとの考えで、制裁措置としてこれに言及したものだ。すると、あの“お騒がせ”大学生もこれに呼応した動きに出たというから痛快な話だ。
「2月の頭、19歳の大学生がイーロン・マスクやビル・ゲイツのプライベートジェットの追跡に成功し、マスクが5000ドルを支払うから追跡を止めて欲しいと申し出たというニュースが伝えられました。ジャック・スウィーニーという少年なのですが、その彼が今度はオリガルヒのヨットの追跡を始め、ツイッターで晒しているのです」(週刊誌記者)
マスクらのジェット機の追跡を始めた時には、マスクが金銭提示をしたように、当事者にとってはかなり迷惑な存在だった。航空業界も運行関係者の安全が危惧され、産業スパイにも悪用されかねないとして色めき立ったものだった。だが彼にとってはこれは「趣味」でしかなかった。父親が航空業界で働いていたことから、幼い頃から航空追跡アプリを使って飛行機を特定する“遊び”を行っていたからだ。そしてその彼が、ロシアがウクライナに侵攻を始めるや、今度はオリガルヒのプライベートジェットの追跡を始め、さらにはヨットの追跡も行うようになったのだ。
バイデン政権が狙うのは、鉄鋼王や石油王など8人とその家族ら。プーチンの出身母体であるKGB時代からの友人もいる。
「実際に4日にはフランス当局がロシア石油大手ロスネフチのトップであるイーゴリ・セチン氏のスーパーヨットをコート・ダジュールで押収したとしています。EUも対ロシア制裁としてオリガルヒを狙っているからです。その押収されたヨットは、全長86メートルにも及ぶまさに“スーパー”なもので、140億円相当だとされています」(同)
スウィーニー君の追跡アカウントはわずか数日で40万のフォロワーを集めた。一致団結したウクライナ国内の抵抗運動と同様、官民挙げてのこの戦略が戦争の阻止に繋がれば良いのだが。
(猫間滋)