ある「地下アイドル」の告白(2)生活に困窮しヤバいバイトに手を染める子も

 ライカさんのアイドル活動は、ダンスやボイトレのレッスンをこなしながら、平日・週末問わずライブハウスでパフォーマンスを行う。ライブハウスでは入場時にファンに必ず「特典会」のチケットが手渡される。要は、握手券のようなものだ。ライブが終われば特典会が催され、自身を“推しメン”とするファンと握手をし、インスタントカメラの「チェキ」でツーショ撮影を行い、オリジナルのキャラクターグッズの物販が行われる。

 実はこの特典会こそが重要なのだ。ここでの売り上げが費用面で彼女らの活動をほとんど支えているからだ。地下アイドルのマネージャーを務める男性がこう説明する。

「地下アイドルの最大にしてほとんどの収入源はライブでの特典会の売り上げと言っていい。Tシャツやペンライト、タオルなどの2000〜3000円くらいするオリジナルグッズや1枚1000円のシングルCDは、やがて行き渡ってしまえばもう売れません。一方で次から次へと出るのが1枚1000〜2000円のチェキの撮影です。熱狂的なファンの場合、その時の懐具合によってですが、20〜30枚くらい撮影する人もいて、その場合、1人当たりで3〜5万円の売り上げになりますから。5人くらいのユニットで考えた場合、トータルでの平日の売り上げが2〜3万円、週末だと10〜15万円。地下アイドルは事務所にとっては良い日銭稼ぎになるんです」

 話を聞くとなかなかうまい商売なのだが、地下アイドルの台所事情はとても厳しい。ライカさんはこう漏らす。

「一番少ない時で月のギャラが6000円なんてこともありました。多くてもせいぜい6万円くらいとか、月によってバラバラでした。10万円以上もらえているなんて話は聞いたことないですね。お客さんが来ないと全然もらえなくて、もちろん生活できるレベルじゃないです。最初の事務所の話だと、『生活はキツいかもしれないけれどそれでも生活はできるお金は出すから』という話で、『バイトも辞めていいよ』という言葉を信じてバイトを辞めた子もいました。ところがフタを開けてみればこんなに少なくて。食べていけません」

 ライカさんの場合は都内の実家暮らしだったので本格的に生活に困ることはなかった。それでも自宅があるのは郊外なので、レッスンだライブだといって都心に出て来る電車賃だってバカにならない。

「他のメンバーも親に仕送りしてもらっていたり、携帯電話のお金を払ってもらっていたりです。そんな感じですから、時間の割には給料の良いバイトをしている子が多いですね。怪しい化粧品を電話で売りつける詐欺まがいの仕事とか。艶っぽいアルバイトですか? 私の知っている子ではいないですね。そういうペケがつくようなことをしたら即クビだって言われていましたから」

 地下アイドルを手掛ける事務所の多くは小規模な事務所だ。事務所に属さずに完全フリーランスでアイドル活動をする人もいるが、それは完全に個人活動の領域だ。問題は、事務所を通じて活動している場合。業界的に売り上げの7割が事務所、残りの3割が本人たちに落ちる契約になっているという。それはだいたいどこの事務所も同じだとか。

「だから彼女らの頭の中では、チェキを1枚撮ったから『これで300円』と、まるで内職をこなすかのように頭の中で計算をしながらやっているんですよ」(前出・マネージャー)

 ライブでの特典会の売り上げ以外にも、テレビの深夜番組やネット・アプリでの動画配信出演の収入もあって、その分のギャラも発生するが、
 
「1仕事当たり1時間で300〜1000円程度。それもユニットのリーダーだけとか、メンバーみなに仕事が来るとは限りません」(同)

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