8日に行われた、北京五輪フィギュアスケート男子ショートプログラムで、最初の4回転サルコーが抜け、1回転になる痛恨のミスで、8位と出遅れた羽生結弦。
五輪3連覇と人類初のクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)への挑戦は、10日のフリーの演技に持ち越されることになったが、開催国の中国では「羽生狂騒曲」が過熱している。
「羽生が現地入りした6日には、空港で防護服を着た現地スタッフが写真撮影を求めて殺到する様子が報道されましたが、事前に入国日時が明らかにされていなかったこともあり、数日前から空港に張り込む中国メディアもあったようです。さらに、各国の代表が続々と選手村入りすると、《ユズルが練習会場(首都体育館)にいる》といった誤情報が流れ、現地マスコミが右往左往する一幕も」(スポーツライター)
さらに7日午後には、競技会場となる首都体育館隣のサブリンクで、羽生の北京入り後初の公式練習が行われると、それを取材するため日・中のメディア関係者ら100人近くが詰めかける騒ぎに。
「中国で羽生人気が急速に高まったのは、2014年の中国杯で起きた“流血事件”がきっかけだといいます。羽生は演技前練習中に中国選手と激突、顔からリンクに落ちて頭から出血したのですが、それでも相手を気遣う姿が現地の人の胸を打ちました。そして、頭とアゴにテーピングを施して強行出場した気迫が、フィギュアファン以外の人にも強烈な印象を与えたのです」(同)
さらに2018年平昌五輪では、メダルの可能性がなくなった中国人選手を抱き締め、「天天加油」(天天=選手の愛称、頑張って)と中国語で声をかける姿が報じられたことも人気爆発の要因になったようだ。中国で羽生は「柚子」(ヨウヅ)という愛称で呼ばれ、その人気に便乗しようと、国家知的財産権局には「羽生結弦」「羽生柚子」などの商標登録が申請されているのだとか。
「中国の書店では現在、羽生選手の関連書籍が発売されており、幼少時からの軌跡が描かれたノンフィクション本の中国語版が人気といいます。また、現地のニュースサイトも羽生選手を度々取り上げており、先日は『百度』が『羽生結弦は北京冬季五輪後に引退するかもしれない!』という見出しをつけ、『正式な引退日はまだ発表されていないが、引退後はコーチになる可能性が高い!』と衝撃的に報じていましたが、内容はよくある憶測記事。羽生選手に関するネタはニーズがあるので、今後さらに報道がエスカレートすることは間違いないでしょう」(同)
羽生の一挙手一投足に熱い視線が注がれている。
(灯倫太郎)