交流戦ルール変更で三木谷浩史オーナー会議議長を警戒する声

“無風状態”ということが、逆に警戒心を高めているようだ。

 2019年のプロ野球セ・パ交流戦が6月4日にスタート。それに先駆けて発表されたのが、交流戦の“リーグ別対抗戦”に関連するルール変更だ。
 
「15年以降、ドラフト会議の2巡目指名は『交流戦で勝ち越したリーグの最下位チーム』からスタートするウエーバー制となっていました。パ6位⇒セ6位⇒パ5位⇒セ5位…といった順番ですね。それを今季から交流戦の成績に関係なく、セ・パ両リーグで1年おきに入れ換えることとなりました」(スポーツ紙記者)

 パ・リーグは昨季まで9年連続、交流戦でセ・リーグを上回る勝利数を挙げている。交流戦で得たドラフト会議のアドバンテージを簡単に手放したわけだが、このことは、プロ野球界の決定機関ともいえるオーナー会議でも承認されている。

 オーナー会議で波乱も起きず、あっさり決まった経緯について、こんな声も聞かれた。

「今年のオーナー会議の議長は、東北楽天の三木谷浩史オーナーです。三木谷オーナーは交流戦の試合数が減らされている現状に疑問を呈しており、球界の改革論者でもあるんですが…」(同前)

 05年の球界参入後、少子化を理由に外国人選手の出場枠の完全撤廃を唱え、おじいちゃんオーナーらを驚かせたこともあった。オーナー会議の議長役は、輪番制。三木谷オーナーが議長となった今季、「何かありそう」の声も出ていたのに、まさかのセ・リーグへの歩み寄りである。

「三木谷オーナーの狙いは、ほかにあるのではないか。三木谷オーナーのプロ野球経営における理想は、若くて年俸のまだ低い選手を活躍させ、費用対効果の高いチームを作ること。外国人選手枠、交流戦の試合増ではないのではないか」(球界関係者)

 費用対効果の高いチーム作りでいえば、海外には出場機会に恵まれない若手や二軍選手対象とした「ルール5ドラフト」がある。手っ取り早く言えば、くすぶっている他球団の若手を“横取り”できる制度だ。プロ野球選手会もこのドラフトに関する意見書をまとめるなどしており、三木谷議長がオーナー会議の俎上に載せる可能性もなくはない。

「三軍制のソフトバンク、巨人、昨季ウエスタンリーグで優勝した阪神二軍が新ドラフトの標的にされそうです」(同前)

 交流戦によるアドバンテージを簡単に手放した今回のルール変更。すんなりと議事進行する三木谷オーナーが何を企図しているのか警戒する声が高まっている。

(スポーツライター・飯山満)

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