「イケア」CMに噴出した「妻は召使い?」男女差別の指摘で物議

 スウェーデン家具「イケア」の日本法人が12月7日に公式Twitterに投稿したCMが、女性差別ではないかと議論を巻き起こしている。

 問題となっているのは、テーブルトップが食事を運ぶトレーにもなる「グラドム トレイテーブル」という商品のCMで、娘が床に散らかしたお菓子や飲み物をソファに座った父親が足で引っ掛けぶちまけるシーンに始まり、次に母親がしゃがみながらトレーに乗ったお菓子と飲み物を渡すと、トレーをテーブルにセット。父親と子供が座るソファには座らず中腰になり一緒にテレビを観るシーンが映し出され、「あっという間にいい毎日、この家が好き。イケア」とナレーションが入ってCMは終了する。

 つまりイケアで買ったお盆やトレーやテーブルがあれば床を散らかすようなこともなくなる…といったメッセージなのだが、このCMに対して《女性は奴隷? 男性様の給仕をしソファにも座らせてもらえないのか》《夫が床に置いた飲み物を蹴飛ばして妻に片付けさせ、その上で新しい飲み物とお菓子を用意させ、働く妻には見向きもせずに夫は子供と映画を見てるって何かのホラー?》といった批判が殺到したのだが、その一方で《女性が飲み物を運んだら差別?》《何でもかんでも差別にしてしまう傾向にうんざり》など、批判は過剰とする意見も少なくない。

「ちなみに、オーストラリア版のCMでは男性が自分の食事をトレーに乗せて運ぶものだったため、《日本では古くからある男尊女卑が未だ根付いている》といった声もあがっているのです。ただ、CMを観る限りでは日本の一般的な核家族の家庭が描かれているように思えますし、母親がソファーに座らない演出は少し不自然な部分ではありますが、さほど男尊女卑や女性差別を感じさせるものとは思えませんが…」(メディアライター)

 それにしても、ここ数年、様々なものが女性差別に当たるとしてTwitterなどで炎上することが増えている。「今年1月にはファミリーマートの惣菜ブランドの『お母さん食堂』が、《ご飯を用意するのは母親の仕事であるようなジェンダーバイアスが掛かっている》との声が噴出。ファミマ側は批判は関係ないとしていますが、ブランド名が変更となりました。また9月には、千葉県松戸市のご当地Vチューバー『戸定梨香』が松戸警察らに協力して制作した交通安全PR動画に《おへそが見えている》《動くと胸が揺れる》《スカートの丈が短い》などの理由から女性蔑視にあたるとして全国フェミニスト議員連盟から抗議を受け、動画が削除される事態に。しかし、その一方でこれらを女性差別とするのはむしろ“偏見”という意見もあり、フェミニストとアンチフェミニストの対立が続いています」(ITジャーナリスト)

 当然、男女差別をなくしていくことは大事だが、あら探しになってしまわないことを願いたい。

(小林洋三)

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